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2009年12月31日(木)「しんぶん赤旗」

主張

年越し派遣村

支援と連帯の中で新しい年を


 肌を刺すような寒風を段ボールで避けながら路上に横たわる人たちに、「気をつけて」と声をかけながら寝袋を配るボランティア、労働組合や市民団体などが実施した街頭での緊急生活・労働相談に、次々訪れる仕事や住まいを失った人たち―年の瀬を迎えた全国各地で、長引く不況の中で生活に困窮した人たちへの、支援と連帯の活動が続けられています。

 昨年末の東京・日比谷公園などでの「年越し派遣村」の活動に続く、2年続きの大規模な年末の支援活動です。来年こそはこうした活動を必要としない社会にと、決意を新たにせざるを得ません。

「公設派遣村」の実態は

 文字通りその日の住まいや暮らしにも困っている人たちの切実な要望や、労働組合、市民団体などの運動に押され、政府や自治体もようやく重い腰を上げ始めています。東京では「公設」の「派遣村」が設けられ、年末年始も受付の窓口が開かれることになったなど、運営も改善されました。

 事態の深刻さを反映するとともに、国民の世論と運動が切り開いた成果ですが、周知徹底されていないなど、実態はまだまだ不十分さが残ります。集合場所となった都の施設に詰めかけ、「公設派遣村」に移動するため、黙々とバスに乗り込む人たちの姿に、胸が痛くなる思いです。

 地下街や公園など、街中にはまだまだ住まいもなく、路頭に迷う人たちの姿が目立ちます。緊急の支援を求める人がいる限り、政府や自治体は対策の手を緩めるべきではありません。

 厚生労働省の調査では、昨年10月から年末までに、雇い止めや解雇で仕事を失った派遣など「非正規」の労働者は、24万9307人にのぼります。来年3月末まででは25万人を超します。離職者のうち仕事が見つかったのは半数にとどまり、失業給付を受けていた人でも長期の失業で打ち切られる人が相次いでいます。

 「非正規」だけでなく正規の労働者でも解雇が後をたたず、頼みの綱の失業給付さえ打ち切られる事態は、まさに仕事も住まいも失った生活困窮者が日々「再生産」されていることを示しています。公営住宅の空き家などに入れた人のなかにも、期限が切れて退去を求められる人が相次ぎます。国や自治体に支援策を抜本的に強めさせることは、引き続き急務です。

 とりわけ失業給付を多くの失業者が受けられるようにし、期間も延長することは欠かせません。仕事を失った人のうち、失業給付を受け取ることができているのは約5人に1人と低水準で、失業給付の期間が切れたあとの「生活・訓練給付金」の支給にはきびしい条件がつきます。政府が決めさえすれば直ちに実施できる、失業給付の「全国延長給付」などは、最優先で実施すべきです。

繰り返さないため

 同時に重要なのは、不当な解雇をやめさせ、雇用破壊と生活破壊の悪循環にストップをかけることです。大企業は不況の中でも労働者や下請け中小企業に犠牲を転嫁し利益を確保しています。大企業に雇用責任を果たさせ、労働者派遣法の抜本改正など人間らしく働ける条件を広げていくことです。

 「年越し派遣村を繰り返さない」の決意を来年は実現するため、力を尽くそうではありませんか。



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