2009年12月28日(月)「しんぶん赤旗」
「左」もオバマ氏批判
「変革」言ったのに…幻滅
来年の中間選挙に暗雲?
【ワシントン=小林俊哉】就任以来、保守派からは「社会主義者」などと攻撃を受けてきたオバマ米大統領ですが、今度は「進歩派」「リベラル派」といわれる勢力からも公然と批判を浴びるようになりました。来年秋の中間選挙を見据えて、米メディアの関心を引いています。
議論に火をつけたのは「民主党左派」の代表格ハワード・ディーン元民主党全国委員会委員長。オバマ政権が最重要政策に掲げる医療保険制度改革の上院審議で、米国初となる政府主導の公的医療保険制度の創設を断念したり、妊娠中絶に反対する保守派に妥協して規制強化を盛り込んだことなどを見かねて、一時は法案の廃案まで主張。オバマ氏の固い支持基盤とみられたグループから公然と批判が出たことが注目されました。
26日付のニューヨーク・タイムズ紙は「大統領は党内左派を幻滅させている」との特集記事を掲載。「変革」を旗印に当選したものの、「(オバマ氏は)現在のシステムをひっくりかえすより、その中で動く大統領だ」と指摘しています。
同紙は「公的医療保険制度をめぐる妥協、草の根運動の支持を結集することの失敗―これらは、オバマ氏の政治基盤のエネルギーをそぎ、来年の選挙に影響を与える」との指摘を伝えています。
折しも22日には、与党・民主党のパーカー・グリフィス下院議員(アラバマ州選出)が共和党に移ると発表したばかり。「右」へのくら替えが出る一方で、「左」からも批判―。就任1年を目前に、オバマ氏は党内にも難題を抱えています。