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2009年12月28日(月)「しんぶん赤旗」

主張

09年の世界経済

経済再生と新経済秩序は両輪


 2009年の年末にあたり今年の世界経済を振り返ると、二つの課題をめぐる動きがありました。

 一つは、第2次大戦後最大の金融危機と世界恐慌から脱却して世界経済の再生をめざす動きです。もう一つは、世界の構造変化にあわなくなった大国主導の国際経済秩序にかわる新しい民主的な国際経済秩序をめざす動きです。

 これら二つの課題は、密接に結びついた車の両輪です。世界経済の本格的な再生をはかるためには、一握りの資本主義大国だけでなく、新興国や途上国も対等の権利で参加する新国際経済秩序の流れを加速させることが必要です。

楽観できない世界景気

 今年の世界経済は、1945年以降の65年間で最大の経済の落ち込みを記録しました。最新のIMF(国際通貨基金)の見通しでは、今年の世界経済の実質成長率はマイナス1・1%、とりわけ発達した資本主義国では、日本がマイナス5・4%、EU(欧州連合)がマイナス4・2%、米国がマイナス2・7%となっています。

 深刻な経済危機にたいし、各国とも昨年から今年にかけて、金融と財政の両面から、かつてない規模の公的資金を投入しました。そのために、急激な落ち込みには一定の歯止めがかかり、IMFは、来年度の世界経済は、プラス3・1%に反転するとしています。

 しかし、現在の世界経済の「小康状態」は、中国や新興国の高度成長頼みで、先進諸国の自律的な景気回復には程遠いものがあります。各国の金融部門は依然としてぼう大な不良債権をかかえており、なによりも実体経済で高い失業率と家計消費の低迷が続いています。しかも各国とも、これから巨額な財政赤字が重圧となってきます。

 日本共産党の第25回大会決議案では、2009年9月に行われたG20(金融サミット)の声明を引いて、「旧来の経済秩序のあり方では、直面する金融・経済危機には対応不能」と指摘しています。

 世界経済は、投機マネーの跳梁(ちょうりょう)による金融危機、基軸通貨ドルの信認のゆらぎ、失業と貧困の増大、地球環境への対応の緊急性、軍拡などによる財政破綻(はたん)など、世界共通の構造問題を抱えています。これらの課題は、各国が個別には解決できないし、G8大国の首脳会議だけでも対応できません。

 すでに3回開かれたG20では、「金融の暴走」の元凶であるヘッジファンド、投資銀行の規制など、ルールある金融秩序の構築に向けて一定の合意をしました。また国連の全加盟国によるG192も開かれ、IMFなどの改革を一部の先進国任せにせず、国連で取り組むことを求めています。

米国の責任は重大

 2009年の世界は、世界経済の再生と新国際経済秩序作りへ向けて重要な第一歩を踏み出しました。新しい年2010年は、この動きを加速し、さらに大きな前進をめざさなければなりません。

 とりわけ、世界的な金融危機と世界恐慌の震源地である米国の責任は重大です。金融再生のための効果的な規制とともに、貿易と財政の「双子の赤字」の解消めざして、アフガン戦争などによる軍拡をやめることが求められます。

 同時に日本も、従来の対米従属政治からきっぱりと決別し、財界・大企業中心の経済政策から国民生活中心への転換が必要です。


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