2009年12月28日(月)「しんぶん赤旗」
景気・雇用・「普天間」打開策示す
党首討論 志位委員長が発言
派遣法改正実施 先送り許されない
テレ朝系番組
日本共産党の志位和夫委員長は27日、テレビ朝日系番組「サンデープロジェクト」の8党党首クラスの討論(民主党は菅直人副総理)に出席し、景気・雇用問題、沖縄の米軍普天間基地問題など、国政の焦眉(しょうび)の課題について約100分にわたり議論をたたかわせました。
番組では「鳩山政権の予算案で景気の二番底を回避できるのか」が議論になりました。
志位氏は、いまの景気の問題を大きな目でみる上で、この10年間で、雇用者報酬が280兆円から253兆円へと27兆円も落ち込んでいる一方で、企業の内部留保は200兆円から400兆円へと倍増(その半分は大企業)しているという事実を紹介。「大企業は、正社員を非正規社員に置き換え、リストラ、賃下げをして、どんどん(労働者から利益を)吸い上げてため込んだ。このため込み金が最大の『埋蔵金』だから、これを社会のために使わせる根本的施策転換が必要だ」と力説しました。
具体策としては、労働者派遣法の早期抜本改正や、中小企業を支援しながらの最低賃金の抜本的引き上げなどを提起しました。
社民党の福島瑞穂党首(消費者・少子化担当相)が、「(来年の)通常国会に派遣法の抜本改正案を提出する」と表明したのに対し、志位氏は「与党3党案は不十分な点はあるが、一歩前進だ。しかし、(製造業派遣原則禁止の)実施時期は3年先、5年先という話になってきている。それでは話にならない」と指摘しました。
普天間問題では、鳩山由紀夫首相が26日、「(海兵隊のもつ)抑止力の観点からみて、グアムに普天間(の基地機能)をすべて移設させることは無理がある」と発言したことが話題になりました。
菅氏は「日本、米国、沖縄県民、3党連立が合意できる案の見通しはない」などと述べました。
志位氏は、鳩山政権が、「移設先が見つからなければ基地の返還はない」という路線から抜け出せない背景には、「『海兵隊は日本の平和と安全のための抑止力だ』という“呪縛(じゅばく)”がある」と強調。「海兵隊は抑止力ではなく『侵略力』だ。抑止力の“呪縛”から解放され、普天間基地の無条件撤去の立場に立たないと問題は解決しない」と力説しました。
自民党の谷垣禎一総裁は、「結局、志位さんが言ったようにポイントは抑止力をどうするか。われわれは沖縄に海兵隊がいることは日米安保の信頼性や地域の安全に必要だと思っている」などと発言しました。
志位氏が「何を抑止しているのか」と迫り、コメンテーターの高野孟氏も同様の指摘を行いましたが、谷垣氏は答えられませんでした。
また、福島氏が「抑止力、抑止力といって沖縄に基地を押し付けてきた」と自公政治を批判したのに対し、志位氏は「それ(抑止力)は鳩山さんもいっている」と指摘しました。
12億円の使途不明金 説明を
志位氏、鳩山首相に要求
志位和夫委員長は27日の「サンデープロジェクト」討論で、鳩山由紀夫首相の偽装献金疑惑について、使途不明金が12億円にものぼることを明らかにし、説明責任を指摘するとともに、全容解明を強く求めました。
志位氏は、鳩山首相が会見で「まったく知らなかった」と述べたことについて、「こういういい訳は通らない。実母から12億6000万円が流れ、首相個人から3億2000万円が流れている。合計して約16億円が鳩山事務所に入っているのに、虚偽記載で使途がそれなりに出てきているのは4億円で、12億円が使途不明金だ」と指摘しました。
その上で、「(実母からの)12億6000万円に対し税金逃れしていた問題に加え、使途不明の膨大なお金がある。このお金がどのように使われたのか。鳩山さんが総理になったことと、どのような関係があるのか、あるいはないのか、これをきちんと明らかにすることが必要だ」と強調しました。