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2009年12月25日(金)「しんぶん赤旗」

主張

鳩山首相献金疑惑

知らなかったでは納得できぬ


 鳩山由紀夫首相が、母親から贈られた資金などを「個人献金」と偽って届け出、贈与税も払っていなかった問題で、東京地検特捜部は鳩山氏や母親の直接の取り調べもせず、資金管理団体の会計実務担当だった元公設秘書と会計責任者だった元政策秘書だけを起訴する処分を決めました。

 鳩山氏は特捜部に上申書を提出し起訴を免れましたが、首相が政治資金について疑惑を抱かれ、検察に上申書を提出すること自体、異例なことです。鳩山氏が記者会見で繰り返した、「秘書に任せていた」「知らなかった」などの説明で、国民はとても納得できません。

常識で通用しない

 ことの発端は鳩山氏の資金管理団体「友愛政経懇話会」の偽装献金疑惑です。同会が「個人献金」と届け出た中に、「故人」名義などが含まれていたことが明らかになり、政治資金収支報告書の虚偽記載として大問題になりました。名義を偽った報告はパーティー収入にもあり、2008年までの5年間の虚偽記載は、約3億5千万円にのぼっていました。

 鳩山氏は虚偽記載を認め、最初、原資は自己資金で、献金の限度額を超える分は「貸付金」だったと説明しました。鳩山氏が自分の口座から支出したというのは年間5000万円ほどで、虚偽記載はその一部です。それだけでは説明がつかないのに、鳩山氏は母親などからの献金は「ないと信じる」と国会で答弁しました。

 ところがその母親からも月1500万円が支出され、5年間の総額は9億円にもなることが明らかになると、鳩山氏は一転「知らなかった」と言い出したのです。5年間で9億円も受け取りながら「知らなかった」というのはとても常識では通用しません。しかもいったん「ない」と答弁したことに照らしても、とうてい説明責任を果たしているといえません。

 母親からの資金提供は政治団体への個人の献金限度額年間150万円を大幅に上回ります。貸し付けの実態もなく、贈与とすれば悪質で巨額の脱税です。明白な法律違反にもかかわらず、検察が母親も鳩山氏本人も聴取せず、秘書だけに起訴の処分を決めること自体、許されることではありません。

 だいたい、たとえ「秘書がやった、知らなかった」という鳩山氏の主張どおりでも、秘書の責任は政治家である鳩山氏の責任です。政界では、「秘書が」「家族が」というのがはやりですが、かつて他党議員の責任転嫁に対し厳しく批判したのは鳩山氏自身でなかったのか。自分の場合についてだけ「知らなかった」などといいぬけようとするのは絶対に通用しません。

首相として責任重大

 政治家が政治資金問題で疑惑を持たれた場合、自ら解明し、責任を明確にするというのは当然の責任です。とりわけ首相は内閣のトップとして、率先してその責任を果たす責任があります。鳩山氏がどんなに清潔な政治を説いてみせても、自らの疑惑に甘いのでは国民の政治不信は強まる一方です。

 政権発足から100日を迎え、どの世論調査でも内閣支持率は急速に低下しています。その最大の原因のひとつが、首相が自らの政治献金疑惑を解明しないことです。自民党政治を批判した言動に責任を持つなら、鳩山首相は自らの疑惑に責任を果たすべきです。



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