2009年12月23日(水)「しんぶん赤旗」
独大手企業が雇用維持
上半期までに50万人
政府の操業短縮手当活用
ドイツの大手企業が不況の中、政府の操業短縮手当政策を活用して、次々と雇用維持を労働者側と合意しています。
クリスマス直前に明らかになったのは、独自動車部品大手のロバート・ボッシュと大手製薬会社のバイエルです。ボッシュは17日に、労働者の代表組織である事業所評議会と2012年まで企業都合の解雇を行わないことで合意しました。
ボッシュは操業短縮を実施。6万人の従業員が操業短縮手当を申請します。
また、21日の独化学産業ニュースによると、バイエルも労働者側に、12年末まで2万3000人の労働者の企業都合解雇を行わないと約束しました。同様に、操業短縮手当を部分的に利用するとしています。
ドイツ政府は先月、引き続く経済危機の中、雇用維持のために活用している操業短縮手当特別措置をさらに1年延長することを決定したばかり。
同手当は、2009年に47億ユーロ(約6110億円)の支出が見込まれ、連邦雇用庁によると今年上半期までに少なくとも50万人の解雇を防いできました。6月だけで6万3000の企業が活用し、140万人の労働者が同手当を受給し、雇用を下支えしてきました。
一方で、大企業は人減らし自体は進めています。ドイツのDAX(ドイツ株価指数)に上場する大手企業30社は、今年9月末で昨年同期に比べ6万3000人(1・7%)の人員削減を行っていますが、もっぱら新規雇用ストップと年金生活入りでの退職などの自然減、派遣労働者の契約延長打ち切りなどによるものです。
ドイツの操業短縮手当 旧西独時代から導入されその後拡充されてきた雇用安定のための制度。事業主が一定の規模で操業短縮を行う際に、短縮に伴う賃金の目減り分の一部を独連邦雇用庁が補償するもの。補償額は子どもが1人以上いる場合、最大で賃金の67%、それ以外の労働者は60%を支給します。支給期間は最長18カ月。
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