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2009年12月22日(火)「しんぶん赤旗」

在韓米軍 海外出撃狙う

軍首脳 再編構想 相次ぎ言及

周辺国との摩擦懸念も


 在韓米軍を世界各地に出撃できる部隊に再編する構想に米軍首脳が相次いで言及し、韓国内で波紋を広げています。北朝鮮の脅威を理由に、米軍の世界への出撃が「安保上の空白」をもたらすとする主張が多い一方で、韓国が米軍の出撃基地化することによる周辺国との摩擦を懸念する声も出ています。(面川誠)


 発端は11月19日、訪韓したオバマ米大統領が在韓米軍兵士を前に、「みなさんの一部はアフガニスタンで勤務したことがあり、一部は再び派兵されるだろう」と演説したことでした。

 次いでマレン統合参謀本部議長が今月8日にワシントンで記者会見し、在韓米軍の「戦略的柔軟性」について、「全世界的に非常に重要な戦略的な概念」と強調。14日にはシャープ在韓米軍司令官がワシントンで講演し、「在韓米軍は、これまで以上に域内に関与し、全世界に展開できるようにする必要がある」と強調しました。

 在韓米軍の役割を「韓国防衛」に限定せず、世界に出撃できる部隊にする「戦略的柔軟性」の構想は、ブッシュ前政権期に公式に出されました。

 当時の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は「北東アジアの紛争に在韓米軍が出撃すれば、韓国が戦争に巻き込まれる恐れがある」と懸念。米韓は2006年1月に、韓国が米軍の戦略的柔軟性の「必要性を尊重」する代わりに、米国は「韓国の立場を尊重する」との共同声明を発表しました。

 在韓米軍はブッシュ政権期から再編が進み、ソウル南方の基地に部隊を集中させています。兵力を3万7500人から2万8500人に減らす一方で、機動力を大幅に向上させるのが目的です。

 今回、米国側の一連の発言は、戦略的柔軟性を本格的に実践する準備に入ったことを意味します。

 昨年就任した韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領が、米韓同盟を世界規模の協力関係に拡大するという「21世紀の戦略同盟」を提唱していることも、米側の構想を後押ししていると受け止められています。

 韓国紙・中央日報は「在韓米軍基地が遠からず、沖縄の米軍のように海外出撃基地になることを意味する」と指摘、「在韓米軍の変身によって、中国、日本、ロシアなど周辺国との関係に影響を与えるかもしれない」として、「副作用を最小化する準備」を主張しています。


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