2009年12月20日(日)「しんぶん赤旗」
エジプト“核はいらぬ”
NPT順守 政府、改めて表明
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【カイロ=松本眞志】エジプト政府は最近開かれた同国の諮問評議会(シューラ)の議論で、将来にわたって核兵器を保有せず、核不拡散条約(NPT)を順守する意向を改めて表明しました。
エジプトの週刊英字紙アルアハラム・ウィークリーは17〜23日付1面で、「核はいらない」と題する記事を掲載。諮問評議会での核保有の是非をめぐる数日間の議論を紹介しています。一部の野党や独立系の議員が、イスラエルの核兵器保有やイランの核開発、アラブ世界の核技術開発に対する米国の妨害を理由に、エジプトがNPTから脱退して核兵器保有をめざすべきだと訴えました。
これに対し、シハブ法律問題・議会担当相は、2年前にムバラク大統領が発表した声明を引用し、エジプトの平和的核開発が完全に透明性をともなうものであると主張。「エジプトはイスラエルの核兵器保有を十分認識しており、国際社会に対してイスラエルに核兵器放棄の圧力をかけるよう働きかけている」と説明しました。
さらに、「われわれは1980年にNPTを批准した。条約を順守することによって、エジプトの核エネルギー開発は合法的で国際的にも認知されたものとして保証されている」と述べています。
諮問評議会のシェリフ議長も、「エジプトに核兵器開発計画は必要ない」と強調、「核兵器保有を『享受』する国は、破壊から十分に身を守れないことを知るべきだ。核兵器はわれわれ非核保有国と同様、核保有国にとっても危険な存在だ」と語りました。
諮問評議会(シューラ) 立法権はなく、エジプト大統領や人民議会(国会)に法案などに関する助言をする機関。任期は6年で定数は264議席。このうち3分の1を大統領が任命し、残りは直接選挙で選出。半数は3年ごとに改選。
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