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2009年12月20日(日)「しんぶん赤旗」

主張

軍事予算編成方針

海外派兵強化に変わりがない


 政府は17日の閣議で、2010年度の軍事予算を編成するための準拠となる方針を決定しました。

 準拠方針は、政府が新たな「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」の策定を来年に延ばしたため、それに代わるものとしてつくられました。

 見過ごせないのは、自公政権がつくった現行の「防衛計画の大綱」をそのまま踏襲し、海外派兵態勢の強化と米軍戦略にそった軍拡路線を容認していることです。ムダな軍事費を削って暮らし、教育にまわせという国民の切実な願いに背を向ける内容です。

大型ヘリ空母も容認

 準拠方針は「現大綱が示す認識を前提」にすると明記しています。

 現行の「防衛計画の大綱」は、イラク派兵のような海外派兵に道を開き、海外で米軍と共同作戦する態勢づくりを進める軍事計画書です。「大綱」決定以来の5年間でイラクやインド洋からアフリカ・ソマリア沖まで海外派兵が当たり前のような状況になっているのも「大綱」のためです。憲法の平和原則を軍靴でふみつけにする「大綱」を「前提」にするのは、国民の平和の願いに反します。

 たしかに準拠方針のうち、アジア太平洋地域の「平和と安定のための取り組みが進展」していることを「考慮する必要がある」とのべたくだりは「大綱」にはないものです。しかし、イラクで航空自衛隊が米軍の戦闘と一体となった空輸支援を行うまでになった海外派兵態勢づくりを前提にするのでは、筋が通りません。

 準拠方針が「国際平和協力活動に活用し得る装備品等を整備する」とのべていることはとりわけ重大です。海外派兵用装備の整備に巨額の予算を伴うことは、これまでの空中給油機、大型補給艦、大型輸送艦などの例をみても明らかです。

 実際、来年度予算に計上されるヘリ搭載護衛艦=ヘリ空母は1181億円もします。現有のヘリ空母は約1万4千トンで、ヘリ11機を搭載し3機を同時に運用できます。新型ヘリ空母はこれをはるかに上回る約2万トンで、14機を搭載し、ヘリ5機を同時に運用できる能力をもちます。

 準拠方針が「弾道ミサイル攻撃」の対応として「ミサイル防衛」強化をうたっているのも同様です。日本の「ミサイル防衛」はアメリカのミサイル防衛網の一部です。在日米軍基地やアメリカ本土を防衛することで、米軍が安心して世界各地に軍事介入できるようにするのが日本の役割です。準拠方針が地上発射の迎撃ミサイルPAC3の追加配備を抑制した形をとりながら、周辺システムの改修を明記し、PAC3の追加配備を事実上認めたことは重大です。

「聖域」にメス入れよ

 「防衛計画の大綱」を容認し、海外で戦争するための軍事能力強化を認めた準拠方針は、憲法9条と相いれません。準拠方針は見直すべきです。

 鳩山内閣はムダをなくすといいながら、「事業仕分け」では軍事費のごく一部を削っただけで大部分を温存しました。軍事費と大企業・大資産家優遇という二つの聖域にメスを入れないのでは暮らしに回す財源もできません。

 日米軍事同盟に固執せず、軍事費に大幅削減のメスを入れることが決定的に重要です。



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