2009年12月19日(土)「しんぶん赤旗」
ゼネコンひれ伏す威光
献金“4倍増”迫る
小沢氏秘書初公判
18日、小沢一郎民主党幹事長側への西松建設による偽装献金事件の初公判が東京地裁(登石郁朗裁判長)で行われました。検察側が冒頭陳述であきらかにした、小沢氏が出してきた「天の声」の影響力と、大手ゼネコンがひれ伏した威光の一端をみると――。
「なんだと。急に手のひらを返すのか」
大久保隆規被告(小沢氏の公設第1秘書)から、こう言って怒鳴りつけられたのは大手ゼネコン清水建設の東北副支店長。献金の減額を打診した席でのことでした。
同じく大手ゼネコンの大成建設は2002年ころ、小沢氏側と都内のビル購入をめぐって、トラブルに。怒った大久保被告は同社に「奥座敷に入れさせない」と、小沢氏側が工事受注の了解を与えないことを伝達。同社は同年、岩手県内で受注ができませんでした。
その翌年、大久保被告は後任の同社副支店長に「年間2000万円ぐらいお願いしたい。協力していただければ、また土俵に上がっていただきたい」と、従来の献金額の4倍もの増額を迫りました。
検察側は冒頭陳述で、ほかにも大手ゼネコンの大林組や鉄建建設が大久保被告の要求に屈したやりとりを再現しました。
大久保被告の威光の源泉は小沢氏の影響力。小沢氏の地元岩手県内では昭和50年代の終わりころ、秋田県では1997年に小沢氏が推す知事が誕生して以来、公共工事の本命業者選定に決定的な影響を与えるようになりました。
小沢事務所は各ゼネコンから陳情を受け、特定の社が受注することに「天の声」として了解を与え、仕切り役である、大手ゼネコン鹿島の担当者が談合を仕切りました。こうした「天の声」の窓口を担ったのが、大久保被告でした。
影響力を背景に小沢氏側はゼネコン各社に1社あたり毎年数百万円から2000万円程度の献金や選挙の支援を求めていました。
公判の争点の一つは、大久保被告側がダミー団体からの献金が西松建設からのものと認識していたか、どうかです。
これについて検察側は、大久保被告が献金の相談をする際、同社の二つの政治団体の関係者と会おうともせず、西松建設の総務部長とのみでやりとりしていたことを指摘しました。
大手ゼネコンの担当者が口々に証言した小沢氏の東北地方での公共事業受注への影響力。こうした指摘に小沢氏自身の説明が求められています。