2009年12月18日(金)「しんぶん赤旗」
自公政権の防衛大綱維持
政府方針 軍事費を「聖域化」
政府は17日、2010年度軍事費に関する基本方針を閣議決定しました。方針は、日本を取り巻く安全保障環境について、「基本的に現在の防衛計画大綱が示す認識を前提」と明記し、基本的な考えは自公政権時の04年12月に策定された現大綱と変わりがないことを表明しています。
鳩山政権は、軍拡計画である今後5年間の次期中期防衛力整備計画(中期防)と、その大もとの考え方を示した「防衛計画大綱」の策定を、今年末から来年末まで先送りすることを決めました。防衛計画大綱と中期防のない「空白」のなかでの予算編成は極めて異例。基本方針はその代わりになるもので、10年度の軍事費はこの基本方針をもとに組まれることになります。
しかし、自衛隊の増員見送りなど、行政刷新会議の「事業仕分け」で見直しの判定があった部分以外はそのままで、軍事費を「聖域化」する方針となっています。
基本方針は、「北朝鮮の核・弾道ミサイル問題の深刻化」とともに「周辺諸国の軍事力の拡充・近代化及び活発化がみられる」などと中国を意識し、「日米間の安保面での協力の深化も考慮する必要がある」と指摘。そのうえで、「現大綱の考え方に基づき防衛力を整備する」として、10年度予算は、現大綱を踏襲し編成する姿勢です。
防衛省が10年度概算要求で盛り込んだ地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)の全国への追加配備計画については、「弾道ミサイル対処能力の向上を図る」「現有機能の維持に必要なシステム改修に取り組む」として、レーダーや指揮統制システムの能力向上など部分的な改修にとどめることになりました。自衛官の3500人の増員についても見送りました。
一方、新戦車58両や3隻目となるヘリ空母、米軍「思いやり予算」や米軍再編経費については言及がなく、「事業仕分け」でも判定が見送られています。