2009年12月13日(日)「しんぶん赤旗」
主張
米軍普天間基地
無条件撤去願う県民に応えよ
鳩山由紀夫首相は焦点となっている沖縄の米海兵隊普天間基地の扱いについて、態度を二転三転させ、動揺をくり返しています。
普天間基地の即時閉鎖・無条件撤去は県民の共通した願いです。にもかかわらず鳩山首相が迷走し、結論を先送りしているのは、新基地建設を迫るアメリカの要求に屈しているからです。「日米安保があるから」などという岡田克也外相の発言は、県民への脅迫以外のなにものでもありません。
怒り呼んだ岡田外相発言
普天間基地の「県外、国外移設」は、総選挙で県民・国民に約束した鳩山由紀夫首相の公約でもあります。にもかかわらず、10月に来日したゲーツ米国防長官がどう喝的態度で辺野古への新基地建設を迫って以来、鳩山政権の主要閣僚たちが基地の存続や「県内たらい回し」を県民に押し付ける動きを強めているのは大問題です。
とりわけ、岡田外相が沖縄での住民集会で、普天間基地の「県外移設」では「時間がかかり、それだけ普天間(の危険)は今のまま続く」とのべたことは重大です。県民が基地の「県内たらい回し」に反対しているから普天間基地の危険をなくせないのだと県民を非難したものであり、まさに脅迫そのものです。「われわれを脅すのか」と県民の怒りを買っているのは当然です。
米政府から「一喝」されて、公約を覆そうとし、そのうえこともあろうに県民を脅し、「県内たらい回し」に道筋をつけようとするなど言語道断です。県民の願いは普天間基地の無条件撤去であり、その代わりの辺野古への新基地建設などではありません。
人口約9万人の宜野湾市のど真ん中を占拠した普天間基地は、早朝から真夜中まで市民に爆音被害を与え、墜落の危険を押し付けている元凶であり、一刻も早く撤去することが求められます。
米政府が新基地建設を狙うのは普天間基地の代わりというだけではありません。老朽化した普天間基地の代わりに世界各地に軍事介入するための使い勝手のいい恒久的な最新鋭基地を得ることです。辺野古の新基地が1800メートルの2本の滑走路と四つのヘリ着陸場、大型艦船が使う軍港まで備えるのはそのためです。爆音被害や墜落の危険を移すだけで、環境も破壊する新基地を県民に押し付けることは根本から間違っています。
沖縄の米海兵隊はそもそも「日本防衛」とは無縁の侵略部隊です。「米海兵隊は抑止力として必要」だからという政府の言い分も根拠がないものです。アメリカが他国を侵略するさい先陣を切る「殴り込み部隊」の海兵隊は、沖縄からでていってもらうしかありません。
広がる安保見直しの声
県民の普天間基地無条件撤去の願いをふみにじり、新基地を建設するのが「安保のため」という言い分に対して、その安保そのものを見直すべきだというのがますます広がる沖縄県民の声です。
もちろん安保条約があっても基地はなくすべきです。フィリピンでも南米のエクアドルでも、米国の軍事基地を撤去させました。
鳩山首相は基地なくせの県民の願いに応えるべきです。総選挙で自公政権を退場させ誕生した民主党政権が、日米軍事同盟絶対の態度を取り続けるのでは国民を裏切ることになります。