2009年12月12日(土)「しんぶん赤旗」
保育所 国基準維持を
赤ちゃん亡くした遺族ら要請
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子ども1人当たりの部屋面積などを定めた保育所の最低基準の引き下げが、今月中旬にも閣議決定される「地方分権改革推進計画」に盛り込まれようとしています。情勢が緊迫するなか、保育所での事故で子どもを亡くした遺族らでつくる「赤ちゃんの急死を考える会」(櫛毛冨久美代表)が11日、内閣府の原口一博・地域主権推進担当相に、国基準の維持を申し入れました。津村啓介政務官が応対しました。
同会の寺町東子弁護士は、都市部の認可外保育施設で起きた死亡事故の例をあげ、「待機児が多い地域でこそ、営利目的で子どもを詰め込む劣悪施設がはびこり、事故が起きている」と指摘。「国の基準を外せば、認可外施設の指導監督基準も地域ごとにバラバラになり、劣悪施設がますます野放しになる」と語り、国基準の維持を求めました。
津村政務官は「規制緩和をしたいと思っているわけではない。住民に一番近い自治体に、自分で責任をとってもらう『地域主権』を実現したいだけだ。基準が低くなるとは考えていない」と語りました。
これに対し遺族は「私の娘が市立保育所で亡くなったことを地元の行政の人たちは知っているが、だれも助けてくれない。市は国に事故の報告すら上げていない。本当に地域に任せればうまくいくのか」「まさか保育所に預けて子どもが死ぬとは思わなかった。保育所を安全に保つための基準を守ってほしいだけです」と涙ながらに訴えました。
津村政務官は、「確かに、今すぐ国から地方に任せてうまくいくのかと心配されるのはもっともだ」と表明。「最終的に目指す道は『地域主権』だが、そこまでのプロセスは考えなければいけない」と語りました。