2009年12月12日(土)「しんぶん赤旗」
主張
自民・民主献金問題
政党の責任が問われている
自民党の二階俊博・前経済産業相の政策秘書が、準大手ゼネコン「西松建設」からの違法献金の疑いで略式起訴されました。来週には同じ献金問題で逮捕・起訴された民主党の小沢一郎幹事長の秘書も、初公判が予定されています。
一方、名義を偽った献金などで政治資金規正法違反の疑いをもたれた鳩山由紀夫首相への追及も大詰めを迎えており、会計担当だった元秘書の起訴も近いとみられています。偽装献金の原資として巨額の資金を母親からもらっていた鳩山氏も、贈与税を支払う意向と伝えられます。
秘書だけの責任ですまぬ
二階氏や小沢氏の秘書が起訴された「西松建設」の違法献金事件では、二階氏や小沢氏あての禁止されている企業献金が、ダミー団体を通じた献金に偽装されていました。鳩山氏の偽装献金疑惑では、個人献金と偽装されていた資金の原資が、鳩山氏だけでなく母親からの資金とみられています。
自民、民主両党の一連の献金問題が秘書への責任追及だけですまされ、二階氏や小沢氏などの責任が追及されないのは、国民にとって納得できることではありません。鳩山氏の場合も、母親からの資金提供を贈与と認めるだけで、個人献金と偽装した責任についてはほおかむりでは、通用しません。
政治資金規正法は国会議員など政治家の政治資金の流れを透明にし、その活動を国民の「不断の監視と批判」の下に置くことが目的です。追及されるべきはあくまでも二階氏や小沢氏、鳩山氏など政治家の責任で、秘書を処分してそれで終わりというものではありません。「秘書が」「家族が」というのは疑惑をもたれた政治家の決まり文句ですが、それですまそうとするのは浅ましい限りです。
国会の政治倫理綱領は、疑惑をもたれた政治家は、みずからその疑惑の解明にあたる責任を明記しています。二階氏が、秘書が起訴されてもなお「まことに遺憾」というだけで献金の経緯や目的など疑惑を解明しようとせず、小沢氏は民主党代表を辞任(5月)しただけで、疑惑については「一切やましいことはない」と主張しているのは、解明の責任を果たしたことになりません。鳩山氏が秘書任せで自らは「知らなかった」というのも、とうてい政治家としての責任を果たしたとはいえません。
しかも見過ごせないのは、それぞれの政治家が所属する自民党や民主党の責任です。二階氏について自民党の谷垣禎一総裁は、「みずから要求したものではない」とかばい、処分をおこなわず、選対局長にとどまらせることを明らかにしました。民主党は小沢氏についても鳩山氏についても、党として疑惑を調査し国民に説明することをしていません。公の政党としては、まことに無責任です。
国民の不信一掃すべきだ
二階氏、小沢氏、鳩山氏はいずれも、自民党や民主党を代表する中心幹部です。その疑惑を調査し、責任を明確にしないようでは、党としての姿勢が問われます。
民主党はさきの総選挙のマニフェストで「政治不信を一掃する」とうたい、自民党も鳩山氏らの献金疑惑を非難しました。にもかかわらず政党としてやるべき疑惑の調査と国民への説明責任を果たさない自民、民主の態度では、国民の政治不信は広がる一方です。