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2009年12月12日(土)「しんぶん赤旗」

“戦争必要”と強調

平和賞授賞式 米大統領が演説


 2009年のノーベル平和賞授賞式が10日午後(日本時間同日夜)、ノルウェーのオスロ市庁舎で開かれ、「核兵器なき世界」の理念追求などが評価されたオバマ米大統領が、同賞を正式に受賞しました。しかし大統領は、記念演説で多くの時間を「戦争の正当化」にあて、アフガニスタン戦争などの武力行使を当然視しました。

 また「われわれは60年以上にわたり世界の安全保障を引き受けてきた」「世界の安全保障に対する米国の決意が揺らぐことはない」と、戦後の米国の軍事的存在を誇示しました。

 演説は、「平和賞受賞」の大統領が「戦時」を自認して戦争を語るという矛盾に満ちたものとなりました。

 オバマ大統領は演説で、イラクとアフガニスタンの戦争を念頭に、「二つの戦争のさなかにある国家の最高司令官」として、「世界に悪は存在する。時に武力は必要だ」と強調しました。

 また、「米国単独では行動できない」として、同盟国に協調を呼びかけ。北大西洋条約機構(NATO)の存在をあげ、「平和には犠牲がつきものだ。だからこそNATOが必要なのだ」と述べました。

 一方、「核兵器なき世界」の実現追求と核不拡散の取り組みの緊急性についても強調。米国が核軍縮を先導すると述べるとともに、イランや北朝鮮のような国が不拡散体制を欺くことのないよう国際社会に対処を訴えました。

 「平和賞」の場で「戦争の合理化」を強調したオバマ演説については、日本の被爆者も、「核兵器のない世界」への期待の一方で、「戦争肯定は絶対に正しくない」と強い抗議の声をあげています。

 アフガンへの3万人増派の直後ということもあって、米CNNテレビが9日に公表した世論調査では、大統領が平和賞受賞にふさわしいと考える米国民は19%で、10月の受賞決定時から13ポイント低下しました。


ノーベル平和賞受賞演説

武力行使を正当化

米メディア オバマ大統領批判

 【ワシントン=西村央】オバマ米大統領が10日、オスロで行ったノーベル平和賞受賞演説で、3万人の増派を決定したばかりのアフガン戦争を引き合いに出して武力行使を正当化したことについて、米主要メディアは同日、厳しい調子で報じました。

 ニューヨーク・タイムズ紙は社説で、演説が「ノーベル委員会が聞きたいと思っていたものとは必ずしもならなかった」と指摘。オバマ氏が「二つの戦争の最中にある国の軍最高司令官」として受賞したことを認識しながら、「そのことを謝罪しなかった」と皮肉をこめました。

 また現地からの報道では「平和賞の受賞で、『正義の戦争』を引き合いに出した」と指摘。アフガン増派を「テロと過激派から世界を守るものとして正当化した」と報じました。

 ワシントン・ポスト紙は「戦争する大統領、平和賞受賞に似つかわしくない演説」との見出しで報じました。

 同紙は、アフガン戦争での増派表明から9日目の平和賞受諾演説については、オバマ大統領自身が論争を呼び起こすことを承知していたと指摘しました。



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