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2009年12月8日(火)「しんぶん赤旗」

主張

「太平洋戦争」68周年

正当化の逆流 根を絶つ努力を


 日本が朝鮮半島や中国への侵略に続いて、当時イギリスの植民地だったマレー半島やアメリカのハワイを攻撃、いわゆる「太平洋戦争」を始めた1941年12月8日から、68周年を迎えました。

 侵略の誤りを問い続け、侵略戦争を肯定し美化する逆流の根を絶つことは、現代に生きる私たちがアジアと世界の人たちと平和と友好を築いていくうえで、欠くことのできない課題です。

「靖国」派への国民の批判

 侵略戦争を肯定し美化する逆流は近年、靖国神社への参拝を繰り返した小泉純一郎首相(当時)や、「戦後レジーム(体制)からの脱却」をスローガンに憲法改悪を企てた安倍晋三首相(同)のもとで顕在化しました。しかしそれは国内外の批判の高まりと、2007年の参院選での自民党の敗北、安倍政権の政権投げ出しなどによって破たんを余儀なくされています。侵略戦争を正当化する「靖国」派は重大な打撃をこうむり事態は前向きの打開が図られてきました。

 もちろん、逆流の根を絶つ仕事は、なお残されています。侵略戦争を肯定・美化する「新しい歴史教科書」が今年、横浜市や東京都杉並区などで採択されました。誤った歴史観を子どもたちに押し付ける言語道断な行為です。戦争末期の沖縄県での「集団自決」(強制集団死)への日本軍の関与・命令を否定した教科書検定問題も、完全には解決していません。戦争中の旧日本軍「慰安婦」問題や「強制連行」問題も、国による謝罪と補償がおこなわれていません。

 こうした問題の解決のためには、日本が朝鮮半島や中国本土を含めたアジア・太平洋地域で、領土と権益の拡大のために繰り広げた侵略と植民地支配がもたらした甚大な被害とそのつめ跡を直視することが不可欠です。日本軍国主義の侵略戦争がアジア・太平洋地域の諸国に与えた被害は、犠牲者だけでも2000万人以上に上ります。一方、日本国民も310万人以上が犠牲になりました。

 来年(2010年)は、日本が外交権を奪い軍隊も解散させ、朝鮮半島全体を軍事占領下において当時の「大韓帝国」に押し付けた「韓国併合」から100周年になります。長期にわたって日本の植民地とされた朝鮮では、資源や経済力とともに人間そのものが戦場に駆り出され、徴兵や徴用などで動員された人を含め数十万人が犠牲になりました。

 かつて日本と同じく侵略国となったドイツのワイツゼッカー元大統領は、「過去に目を閉ざすものは結局のところ現在にも盲目となる」という有名なことばを残しています。日本とアジアの諸国民が、侵略戦争についての歴史認識の基本を共有することは、平和と友好の土台を築いていくうえで重要な課題です。

反省生かす国づくりこそ

 日本共産党は戦前の暗黒政治の時代に命がけで侵略戦争に反対し、戦後も侵略の誤りを批判し二度と誤りを繰り返さないよう求めて、国民と力を合わせてきました。

 戦後制定された憲法は、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」ことをうたっています。侵略戦争を肯定・美化する逆流の根を絶ち、憲法を生かして平和な国づくりをすすめることこそ、この決意をつらぬく道です。



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