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2009年12月7日(月)「しんぶん赤旗」

NHK番組「日曜討論」

小池政策委員長の発言


 日本共産党の小池晃政策委員長は6日、NHK「日曜討論」に出席し、各党の政策担当者と雇用・景気対策、貧困問題、子育て支援の財源などについて議論しました。


第2次補正予算

雇用と暮らしの政策 緊急に

 最初に、政府が準備を進めている第2次補正予算について議論になりました。小池氏は次のように述べました。

 小池 (第2次補正予算案については)やはりいま緊急性が必要だと思うんです。仕事がないですから仕事をつくることに本当に真剣に取り組む必要があるし、それから雇用問題です。いま毎月毎月失業手当が15万人ずつ切れています。アメリカでは緊急延長で140日間失業手当の給付を延長したわけです。こういうことをやるべきじゃないでしょうか。雇用保険法でいえば、全国延長給付という制度は法律を変えなくても、いまの制度でも大臣が決断すれば最大90日延ばせるわけです。失業給付会計には来年度末でも4兆4000億円もの積立金、それこそ「埋蔵金」があるわけですから、こういったことをすぐにやる。そういうスピード感と、本当に雇用と暮らしを支える姿勢が必要です。

 予算の規模が大きければ大きいほどいいという立場はとりません。やっぱり財政の問題がありますから。でも雇用保険の積立金などを使えばすぐにでもできることがある。こういったことを緊急にいまやるべきじゃないですか。

新たな雇用創出

即効性・実効性ある対策を

 関連して、新たな雇用創出が議論になり、長妻昭厚生労働相は介護分野などへの雇用の転換を提案。自民党の鴨下一郎政調会長代理は民主党政権が凍結した自公政権時代の第1次補正予算の解除などを主張しました。司会の島田敏男解説委員は「同じ野党でも小池さん、別の視点をお持ちじゃないですか」と水を向けました。

 小池 いま長妻さんは業種の転換をいうが、はっきりいって非正規から正規への転換が政府の雇用対策の根幹に座っていないと思うんです。有効求人倍率は0・44倍ですが、正社員だと0・27倍。派遣切りにあった人は直接雇用、正規の仕事に就きたいと思っているが、それは半分以下しかない。いま自動車産業などは業績が回復してきています。ところが相変わらず雇おうとしているのは非正規の期間従業員です。こういったところにちゃんと大臣が乗り込んでいって、きちんと正規雇用せよということはいうべきです。

 介護に転換するのは大きな方向としてはいいと思います。でも当面、公共事業といったって全部悪ではないわけですから、生活道路や保育園をつくる、やるべき仕事はいっぱいあるわけだから、そういう仕事をつくることも合わせていわないと、即効性、実効性がない雇用対策になってしまうと思うんです。

貧困率15・7%

ワーキングプアが根本に

 小池氏の提案に長妻厚労相は「非正規雇用の方に正規に移っていただくのは、望ましいが、いろんな景気状況の中で難しい現状」などと述べました。議論は、政府が発表した日本の貧困率15・7%に移りました。小池氏は次のように述べました。

 小池 (貧困率の)問題に光を当てたのは率直にいいことだと思います。ただもう一つの特徴として、OECD(経済協力開発機構)は日本の貧困層の8割が働いていると指摘しているわけです。つまりワーキングプアなんです。女性の2人に1人以上、若者の2人に1人。働く人全体の3人に1人が非正規雇用。先ほど長妻大臣が正規への転換は難しいといわれたが、これではだめなんですよ。いくら経済対策をやってもこういう(非正規という)状況を放置していたら、労働者に富の再配分が行われない、結局消費も温まらない、デフレから脱却できないということになるんです。だから景気対策としても、今本当に真剣にこのことに向き合うべきだし、年末に向けてもきちんと正規雇用に変える、派遣法改正をもちろんやらなければいけませんが、しかしそれを待たずにただちに政府は真剣に正規雇用を増やすことに取り組むべきです。それをやらなければ絵に描いたもちになる。数字を出しただけで終わってしまいます。

 小池氏の指摘に、長妻厚労相は「正規雇用を拡大するための施策というのはこれからも続けて増強していきたい」と述べました。貧困・格差問題にかかわって公明党の斉藤鉄夫政調会長が「小泉『改革』が(格差を)拡大したというが、(貧困率はいまと)そんなに大きく変わっていない」などと発言。小池氏は「まさに自民・公明の政治がつくった事態だ。反省が必要だ」と批判し、反論はありませんでした。

子ども手当

財源=庶民増税は正しくない

 次に「子ども手当」について議論になり、小池氏は次のように指摘しました。

 小池 子ども手当、現金給付を引き上げることは当然やらなければいけないし、総合的に保育所の整備などを含めてやらなければならないと思いますが、わたしが問題にしたいのは、扶養控除の廃止です。廃止すると1500万人が扶養控除を受けているうち、500万人は15歳以下の子どもがいない。そういう方の中にも苦しい方はいるし、そこは子ども手当なしに増税だけになる。子どもがいたとしても、所得税が上がれば保育料などにもはねかえる、いろんな負担が増える。

 なぜこういう議論になるかというと、税には「生計費非課税」の原則がありますが、そこを壊そうとするから、犠牲になる人がでてくるわけで、私はこういうやり方は正しくないと思います。

 結局、庶民増税で財源をまかなうというやり方から抜け出さないといけない。税のとり方を、大金持ちや大企業に応分の負担を求めれば財源ができる。格差の解消も税の世界の中で解決すべき問題だと思います。財源問題はぜひ見直してもらいたい。

ワンストップ・サービスや生活保護

国として財政にも責任もて

 最後に、政府が失業者への仕事・住宅・生活などの総合的支援として実施したワンストップ・サービスや生活保護のあり方が議論になりました。

 小池 ワンストップ・サービスは調査でも9割以上の人が1カ月に1回ぐらいやってほしいといっているわけで、ワンストップ・サービスは1回で「ストップ」しないで続けてやるべきです。

 いま生活保護が大事だと大臣がいわれたが、ハローワーク新宿で配っているチラシでは、“本会場では生活保護や住宅手当の申請は一切受け付けません”と書いてある。厚生労働省に抗議したら「一切」という言葉は削除されたんですけど、現場ではこういう対応になっているんです。やはりワンストップというのであれば生活保護も含めてちゃんと受け付けなきゃいけない。そういうふうに徹底していただきたいし、(生活保護の申請を抑える)背景にあるのは地方負担です。生活保護に対する地方負担の軽減、国としてもっと財政的にも責任を持つということをやるべきだと思います。



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