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2009年12月5日(土)「しんぶん赤旗」

日本共産党国会議員団総会での

志位委員長のあいさつ


 日本共産党の志位和夫委員長が4日、国会議員団総会で行ったあいさつは次の通りです。


写真

(写真)議員団総会であいさつする志位和夫委員長=4日、衆院第1議員会館

 みなさん。臨時国会での奮闘、ごくろうさまでした。閉会にあたって、ごあいさつを申しあげます。

 私たちは、新しい情勢のもとで開かれたこの国会で、「政治を変えたい」という国民の期待にこたえるとともに、新政権への国民の不安や批判を代弁して問題点をただし、日本の政治を前に進める、「建設的野党」として知恵と力をつくす、こういう立場で奮闘してきました。

 私は、衆参16名の議員団の結束した力で、わが党は、この国会で、「建設的野党」として、次の三つの点で重要な役割を発揮することができたということを、いいたいと思います。

国民要求を実現する仕事――肝炎基本法、原爆症基金法の成立

 第一は、国民要求を実現する仕事であります。この点では、肝炎対策基本法、原爆症基金法が成立したことを、まずともに喜びたいと思います。(拍手)

 これらは、何よりも原告団、弁護団の命がけのたたかいが実ったものにほかなりません。薬害肝炎の原告団のみなさんは、薬害肝炎だけにとどめず、350万人にのぼる肝炎患者全体の救済を求める勇気あるたたかいを続けました。わが党議員団は、このたたかいに固く連帯して奮闘しました。

 民主党が、議員立法を制限・禁止するという方針をうちだし、肝炎対策基本法の今国会での成立が危ぶまれる局面が生まれたときも、わが党は、ただちに与党に働きかけ、全党が歩み寄れる状況にあるのだから、全会派がテーブルにつく協議の場をつくり、何としても今国会での成立をと主張しました。その結果、各党協議の場が設けられ、そこでわが党は、より良い内容で速やかに実現するために奮闘しました。わが党は、本会議代表質問で、また委員会質疑で、早期成立を政府に迫りました。

 肝炎基本法成立後にもたれた患者団体との懇談の場で、薬害C型肝炎全国原告団の山口美智子代表が、「私たちは、共産党の国会議員団の方々に支えられて今日を迎えることができました」と評価してくださったことは、たいへんうれしいことであります。

 この国会は、国民が声をあげれば政治は変わるということを、第一歩ではありますが、示しました。ただ、どちらも問題が解決したわけではありません。肝炎問題でも、原爆症認定問題でも、引き続き問題の全面解決にむけて奮闘しようではありませんか。(拍手)

新政権の問題点をただし、政治を前に動かす仕事

 第二は、新政権の問題点をただし、政治を前に動かす仕事であります。

 国会冒頭に行われた首相の所信表明演説は、「政治を変える」という言葉は繰り返されましたが、転換すべき要の問題では具体的方策が示されないというものでした。新政権の動きのなかで、公約からの後退も次々に現れる状況も生まれました。

 こうしたもとで、わが党は、国民の立場から新政権の問題点をただす仕事に、衆参の代表質問でも、予算委員会でも全力でとりくみました。

雇用

 雇用問題をめぐっては、首相の所信表明演説は、失業者問題がこれだけ深刻になっているのに、その対策は旧政権の延長線上、労働者派遣法改正については一言も言及しないというものでした。

 「そんな姿勢でいいのか」というわが党の指摘に対して、首相は、「派遣法改正案を通常国会に提出する」と初めて言明しました。「非正規切り」問題では、「企業に申し入れたい」とも約束しました。ただ、わが党が提起した失業保険の「全国延長給付」には、消極的態度のままであります。失業問題では、年末・年始が特に危ぶまれる事態となっています。わが党は、雇用問題、失業問題の緊急対策を、政府に引き続き強く求めていくものであります。

後期医療

 後期高齢者医療制度をめぐっては、新政権は、「新制度ができるまで廃止を先送り」するという態度を示しました。わが党が「先送り」を厳しく批判したのに対して、政府は、「時間がかかる」「混乱する」という旧自公政権と同じ言い分での弁明に終始しました。

 東京新聞は、小池議員の追及を大きく報じました。

 「後期高齢者医療制度 “変節”民主苦しい弁明 廃止で共闘した共産が追及 歯切れ悪い首相・厚労相」「ひたすら理解を求めたが、明らかに劣勢だった」「『ご理解願いたい』と頭を下げるしかなかった」

 世界に類のない差別制度は、速やかな撤廃を―このたたかいを大きく発展させようではありませんか。(拍手)

沖縄基地

 沖縄・普天間基地の問題が、熱い焦点となっています。鳩山首相が総選挙で語った公約は、「県外、国外」への「移設」というものでした。ところがゲーツ米国防長官が来日して、辺野古への新基地建設を強圧的態度で迫ると、外相、防衛相が次々と「県内たらい回し」の発言を行いました。米国に一喝されたら、平気で公約を覆す、これでは自公政権の対米従属外交とどこが違うのかという、厳しい批判が内閣に集中しました。

 この問題で首相は動揺を続けています。「年内決着」を「先送り」し、「新しい移設先の基地を探す」といっています。しかし、今日の昼のニュースの報道では、「辺野古はなくなったのか」との問いに、首相は「辺野古は当然生きている」と答えたとのことです。政局的思惑だけで、問題を「先送り」し、新たな「移設先」を探す―こういうやり方で解決の展望が開けてくるでしょうか。決して開けてこないということを、私はいいたいと思います。(拍手)

 こうした新政権の後退、動揺の根本に何があるでしょうか。笠井議員が予算委員会で、普天間基地の無条件撤去を求めたさい、首相はこういう答弁をしました。「抑止力、日米安保ということを考えたときに、代替地が必要だ。撤去で終わりにならない」。私は、この答弁にこそ、新政権の問題点が集中的に現れていると思います。

 首相がここで「抑止力」といっているのは、海兵隊は、「日本の平和と安全のために必要だ」ということです。いったん、この呪縛(じゅばく)にとらわれてしまうと、「必要」なものならば「移設先」を探さなければならないとなります。結局は「県内たらい回し」という袋小路に入ってしまいます。

 しかし沖縄の海兵隊は、どんな意味でも「日本の平和と安全のため」の軍隊ではありません。アフガン戦争、イラク戦争でも、まっさきに侵略の先兵となった「殴り込み」専門の軍隊です。平和のための「抑止力」でなく、戦争のための「侵略力」なのです(拍手)。そういう軍隊のために、日本政府がどこであれ「移設先」を探さなければならないいわれはありません。普天間基地は無条件に撤去せよ―この立場にたってこそ、問題解決の道が開けることを、私たちは強く訴えるものです。(拍手)

 この国会で、わが党は、中小企業、農業、財源問題、郵政民営化、子育て支援、教育など、さまざまな分野で、国民の利益に立って、政治を前に動かすとともに、問題点をただす「建設的野党」として奮闘しました。

 問題点をただすという場合、わが党は、どんな問題でも、国民の利益に即して政治を前に動かす立場での論戦を堂々と展開しました。それは、自民、公明が新政権を攻撃するとき、政治を後ろに戻す―逆行させる立場からの攻撃と、はっきりした対照をなしました。

 この点でも、わが党ならではの「建設的野党」の立場が光ったということを強調したいと思います。

議会制民主主義を守る――強権的国家づくりを許さない

 第三は、議会制民主主義を守る仕事であります。

 この国会では、政権についた民主党が、横暴な国会運営を重ね、野党に転じた自民党が機械的に審議ボイコットで応じる事態が繰り返される。これまでの自民党と民主党が入れ替わっただけ。国会の民主的運営の破壊では同じという事態が引き起こされました。

 わが党は、民主党の横暴を厳しく批判するとともに、堂々と審議権を行使し、議論で問題点を明らかにするという姿勢を貫き、国会正常化のために力を尽くしました。

 民主党が新政権で初めての法案―中小企業金融円滑化法案で乱暴極まる強行採決を行ったさい、わが党が衆院本会議に堂々と出席し、民主党の国会のルールを破った横暴の一つひとつを、事実に即してただす演説を行いました。この演説には与党はヤジもとばせず、議場を圧しました。

 民主党の国会運営における横暴は、この党の「国会改革」の方針―大会決議案で解明した強権的国家づくりの動きとも一体のものであり、たんに「自民と同じ」というだけですまない危険性があります。国民主権、議会制民主主義を守り抜くわが党の役割は、いよいよ重要であることを肝に銘じて、おおいに奮闘しようではありませんか。(拍手)

大会成功、参議院選挙勝利に向けて

 わが党が先日発表した第25回党大会の決議案では、「過渡的な情勢」のもとで、日本共産党が「三つの任務」―国民の要求実現、日本の政治の根本的転換、情勢の反動的逆行を許さないという任務を果たすことを提起しました。臨時国会での国会議員団の奮闘は、大会決議案の提起した「三つの任務」を、最初の舞台で、立派に果たすものとなったと思います。

 みなさん。党大会成功にむけて、「党躍進特別期間」を必ず成功させる先頭にたつとともに、参議院選挙勝利のためのたたかいを本格的に進めましょう。同時に、年末・年始の期間に、通常国会の論戦の本格的準備にとりかかり、次の国会では、参議院選挙勝利につながる論戦をおおいに進めましょう。

 以上で、閉会にあたってのあいさつとします。(拍手)



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