2009年12月4日(金)「しんぶん赤旗」
新型インフル
鑑賞教室中止に対応を
宮本議員 政府に申し入れ
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日本共産党の宮本岳志衆院議員は3日、玉井日出夫文化庁長官、川端達夫文部科学大臣あてに、新型インフルエンザによる学校芸術鑑賞教室の中止に対応するよう申し入れました。
現在、新型インフルエンザの影響で鑑賞教室の中止・延期が相次いでいます。日本児童・青少年演劇劇団協同組合の加盟劇団だけでも430件にのぼり、児童生徒の鑑賞機会と芸術団体に大きな影響を与えています。
申し入れで宮本氏は、新型インフルエンザによる中止はこれまでにない事態で、放置すれば鑑賞教室の存立にかかわると指摘。(1)すみやかに実態を掌握すること、(2)学校芸術鑑賞教室の意義をふまえ、中止という対応でなく延期という対応を通知すること、(3)芸術団体にキャンセル料の補てんや融資などの緊急措置を講ずること、(4)国として鑑賞教室への公的助成を強めること、の4項目を要請しました。
応対した文化庁の清水明芸術文化課長は、「学校側が延期でき、劇団が都合をあわせることができるなら年度内延期があると思う」としながら、「国としてはなかなか難しい」とのべました。宮本氏は、鑑賞教室が果たしている役割にふれ、「新型インフルエンザという急な事態には特別な支援が必要だ」と、重ねて対応を求めました。
申し入れにあたって、宮本氏は日本児童・青少年演劇劇団協同組合の大野幸則理事長と懇談しました。
鑑賞教室中止問題
政府への申し入れ
宮本岳志衆院議員が3日、文化庁長官、文科相あてに申し入れた「新型インフルエンザによる学校芸術鑑賞教室中止への対応について」は次の通りです。
すべての子どもたちが豊かな芸術にふれることは、子どもの成長にとって不可欠のものであり、芸術・文化の継承と発展のためにも必要です。日本では学校芸術鑑賞教室がその大きな役割を果たしています。この間、学校芸術鑑賞教室が減少傾向にあり、わが党としてもその発展のために政府がおおいに支援することを求めてきました。
いま新型インフルエンザの影響で、学校芸術鑑賞教室の中止が相次いでいます。日本児童・青少年演劇劇団協同組合(児演協)の調査でも、新型インフルエンザを理由にした公演の中止・延期は、同協同組合に加盟する劇団だけで四三〇件にのぼっています。演劇、音楽、伝統芸能など芸術鑑賞教室全体でみれば、相当数にのぼることが予想されます。
新型インフルエンザによる延期・中止はこれまでにない事態であり、放置すれば学校芸術鑑賞教室の存立にもかかわる問題です。政府として直ちに対応すべきだと考えます。
そこで以下、要望します。
一、すみやかに実態を掌握するよう求めます。
新型インフルエンザの影響で、すでに相当数の中止や延期が生まれています。この事態を放置せず、政府としてすみやかに実態を掌握するよう求めます。
一、学校芸術鑑賞教室の意義をふまえた配慮をするよう求めます。
学校芸術鑑賞教室はすべての子どもにとって意義があり、新型インフルエンザの影響によって中止するという対応ではなく、延期で対応するなどの配慮が望まれます。文部科学省として、各教育委員会に新型インフルエンザに伴う対応について、学校鑑賞教室の意義をふまえ、中止ではなく、延期という対応を通知するよう求めます。
一、キャンセル料などへの補てんや芸術団体の運営資金の融資など、緊急措置を講ずること。
すでに中止となっているところについて、公演のキャンセル料をどうするかが大きな問題になっています。芸術団体の宿泊費や移動費など公演料以外の費用についても同様です。学校芸術鑑賞教室の公演料の多くが児童生徒負担によっていることから、その支払いは学校にとっても容易ではありません。同時に、芸術団体にとってはキャンセル料が支払われなければ、実演家の給与や運営に大きな困難をもたらし、死活問題となっています。一劇団だけで約五三〇〇万円もの損失がすでに発生している例もあり、キャンセル料などの支払いについて、政府として補てんするなどの緊急措置を講ずることを求めます。
また、学校芸術鑑賞教室の中止や延期によって、芸術団体の運営資金にも影響が現れています。中小企業者への「セーフティネット保証制度」の指定業種として、劇団、楽団、舞踊団などを追加するなど、芸術団体への緊急融資を求めます。
一、国として鑑賞教室への公的助成を強めること。
本来、学校芸術鑑賞教室には公的助成があってしかるべきです。児童生徒負担が大半である現状を放置したままでは、今回のような事態に対応できません。国としてすべての学校芸術鑑賞教室を視野に入れた支援制度を確立するよう求めます。