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2009年12月2日(水)「しんぶん赤旗」

主張

米軍普天間基地

「国外移設」の公約忘れるな


 総選挙で米海兵隊普天間基地(沖縄県)の「県外、国外移設が望ましい」と公約しながら、態度をあいまいにし続ける鳩山由紀夫首相の態度に、県民の怒りが大きくなっています。

 鳩山首相は仲井真弘多沖縄県知事との会談(11月30日)でも、「県外を求める声があることは認識している」というものの、公約実現については口を閉ざしています。オバマ米大統領が沖縄に新基地を建設する「日米合意」を実行するものだといっている日米閣僚級作業部会の検証結果を待つというだけです。県民の意思をもてあそぶようなことはやめるべきです。

「だますのか」の声が

 鳩山首相は先日の日米首脳会談で、選挙中に「県外、国外」への移設を公約したこと、それによって沖縄県民の期待感が強まっていることはオバマ大統領に伝えました。それならなぜその方向で米政府と交渉しないのか。岡田克也外相や北沢俊美防衛相が進めている「県内たらい回し」の検討作業をなぜやめさせないのか。

 県民の願いを実現しようとしない鳩山首相の態度に、県民からは「民主党からだまされた」という声が噴出し不信感が強まっていることを首相は直視すべきです。

 鳩山首相は口を開けば、「県民が理解できる結論をめざす」といいます。しかし一方で前政権が結んだ日米合意は「重い」ともいっています。普天間基地をなくしたいという県民の切実な願いと距離のある発言です。疑念が県民の間に広がるのは無理ありません。

 鳩山政権が「日米合意」に固執するのは重大です。それでは県民の願いに反し、新基地容認につながることにしかなりません。

 新基地反対が県民の意思だということは、SACO(沖縄に関する特別行動委員会)合意以来13年もたつのに、県民が新基地建設のための一本の杭(くい)も打たせていないことでも明らかです。SACO合意も米軍再編合意も、沖縄県民の反対を押し切って日米両政府が強行したものです。普天間基地問題の基点にはなりえません。

 普天間基地は人口約9万人の宜野湾市のど真ん中を占拠する世界一危険な基地です。ヘリや輸送機などが早朝から真夜中まで住宅上空をわがもの顔に飛び回り、爆音被害と墜落の危険を市民に強いています。普天間基地の即時閉鎖・撤去は切実な願いです。「県内たらい回し」の「移設」ではなく「撤去」をこそめざすべきです。

 戦後64年間も基地に苦しんできた県民の願いは、苦しみの根源である米軍基地をなくすことです。県民はそのため総選挙で自公両党の候補者を退場させました。鳩山首相が「県民の理解を得る」というなら「県内たらい回し」路線ときっぱり決別するしかありません。

県民第一の対米交渉を

 アメリカとの交渉は、何より県民が求める基地の撤去を実現する方向で行うべきです。政権が代わった以上、政策が変わるのは国際政治でも常識です。

 オバマ大統領は政権交代に伴い「進め方を再検討するのはきわめて適切」とのべましたが、それならこれまでの合意の押し付けではなく、合意の見直しに応じるべきです。鳩山首相も「対等な日米関係」というなら、何よりも日米同盟への固執をやめ、県民要求を第一にした交渉を進めるべきです。



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