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2009年12月1日(火)「しんぶん赤旗」

軍事同盟は「20世紀の遺物」

世界と日本 25回党大会決議案から

半世紀の巨大な変化

広がる平和共同体


 日本共産党の第25回大会決議案がとりあげた世界と日本の問題をシリーズで紹介します。第1回は、日米安保条約が改定された1960年以降の半世紀で、軍事同盟をめぐる世界の情勢がどう変化したのか、です。


 1960年から現在にいたる半世紀の間に、世界は、軍事同盟から抜け出して、外部に仮想敵をもたない、開かれた地域の平和共同体が世界各地に広がるという方向に変わりつつあります。

 共通の仮想敵に対して二つ以上の国が条約を結び、軍事上の共同行動を約束するのが軍事同盟です。第2次世界大戦後は、イデオロギーと体制上の違いを理由に、米国と旧ソ連をそれぞれ盟主とする二つの陣営が対立する形で軍事同盟が張りめぐらされ、核兵器を含む軍拡競争と国際緊張の要因となってきました。

 1960年当時、これら軍事同盟のもとにあった国の人口は、植民地を含めると世界人口の67%を占めていました。

 しかしその後、自立を求める各国民の運動や非同盟諸国運動の発展で軍事同盟は次第に衰退の道をたどりました。旧ソ連を中心とした軍事同盟は、91年のソ連崩壊とともに基本的に解体・解消。米国主導の軍事同盟も、次々に解散か機能停止しました。

 現在、実態的に機能しているものは、北大西洋条約機構(NATO)、日米、米韓、米豪の軍事同盟の四つだけです。これらの軍事同盟のもとにある国の人口は、世界人口の16%にすぎません。

 日本共産党第25回大会決議案は「人口の67%から16%に―半世紀前に軍事同盟に覆われていた世界は、大きく変わった。軍事同盟は、21世紀の今日の世界で、『20世紀の遺物』というべき、時代錯誤の存在となっている」と強調しています。

 いまだに日米軍事同盟にしがみつく日本政治の異常さが浮き彫りになっています。


解体・機能停止した主な軍事同盟

(加盟国は1960年当時)

米国を盟主とする軍事同盟

■東南アジア条約機構(SEATO=加盟国は米国、豪州、フランス、ニュージーランド、パキスタン、フィリピン、タイ、英国) 1955年発効、ベトナム侵略戦争での米国の敗北により存在意義を失い77年解散。 

■中央条約機構(CENTO=米国〔オブザーバー〕、英国、トルコ、パキスタン、イラン) 55年発効、イラン革命後、同国とパキスタンが脱退し79年解散。 

■アンザス条約(ANZUS=米国、豪州、ニュージーランド) 52年発効、非核政策を打ち出したニュージーランドに対し、米国は86年に条約上の義務を停止。

■米州相互援助条約(リオ条約=米国、ドミニカ共和国、パナマ、コロンビア、ホンジュラス、エルサルバドル、ブラジル、ハイチ、パラグアイ、ウルグアイ、ベネズエラ、ニカラグア、メキシコ、コスタリカ、チリ、アルゼンチン、ボリビア、ペルー、エクアドル、グアテマラ) 48年発効、2004年にメキシコが脱退、中南米諸国が米国を除く地域機構の創設に動き出すなど事実上の機能停止に。

旧ソ連を盟主とする軍事同盟

■ワルシャワ条約機構(WTO=ソ連、ポーランド、チェコスロバキア、ブルガリア、東ドイツ、ハンガリー、ルーマニア、アルバニア) 55年発効、ソ連・東欧の崩壊の過程で91年解散。

■中ソ友好同盟相互援助条約(ソ連、中国) 50年発効、中ソ対立で機能停止、80年失効。

図

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