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2009年11月29日(日)「しんぶん赤旗」

主張

鳩山首相献金疑惑

資産家だからで済まされない


 資金管理団体への偽装献金に端を発した、鳩山由紀夫首相の政治献金疑惑は、ますます大規模な広がりを見せています。

 偽装献金などの原資として、鳩山首相自身が鳩山家の資産管理会社から年間5000万円ほどを引き出していたことが明らかになっていましたが、母親からも鳩山氏のもとに月約1500万円、年間で1億8000万円が渡っていました。献金の偽装は何のためか、いったいなんのために巨額の資金を使ったのか―鳩山首相は、国民に真相を説明すべきです。

偽装献金の原資の出所は

 鳩山氏の資金管理団体「友愛政経懇話会」への偽装献金は、亡くなった“故人”などの名義で届け出ていたのが2005〜08年の4年間でのべ193件、総額2177万8000円にのぼります。偽装献金の疑いは04年以前もあります。名前を記載しなくてもよい5万円以下の小口の匿名献金も、大半が偽装されたと見られ、04〜08年の5年間のその総額は約1億8000万円にのぼっています。

 さらに、04〜08年に開催した資金集めのパーティー収入も、1億円以上が偽装されたと見られています。これらを合計して偽装は3億円を突破する見込みで、資金管理団体の会計担当だった元公設第1秘書や、会計責任者だった元政策秘書が追及を受けています。

 偽装された献金の原資について、鳩山氏は自己資金だったとし、元公設秘書が鳩山家の資産管理会社「六幸商会」の鳩山氏の口座から、年に5000万円ほど引き出すのを認めてきたと説明しました。政治家本人の上限額1000万円までは献金として、残りは借入金として処理したといいます。

 それでも不足する分を埋め合わせたと見られているのが、母親からの巨額の資金です。年間1億8000万円、04〜08年の5年間で9億円にのぼる母親からの資金提供について元秘書は「貸付金」だったと説明しているといいます。

 ところがこの9億円について鳩山氏の側は利息も払わず、返済の期限も設定していなかったことが明らかになっています。資金が実質的に贈与なら、贈与税を払っていなかったことで脱税の疑いがあります。また、資金管理団体への寄付だったとしても、個人の寄付は年間150万円までという政治資金規正法の量的制限違反の寄付をしていたことになります。

 巨額の資金がいったい何に使われたのか、資金管理団体の献金を偽装したのは何のためなのか、徹底した解明が不可欠です。鳩山氏自身は自己資金以外が偽装献金の原資になったことは否定し、母親の資金提供も知らなかったとしており、その解明も求められます。

虚偽の届け出は重大犯罪

 だいたい、政治資金収支報告書を偽ったという犯罪事実は明白です。政治資金規正法は、政治家が政治資金を公表し国民の「不断の監視と批判」のもとに置くことを定めています。元秘書に責任を押し付け、鳩山氏は知らなかったでは通用しません。

 鳩山氏は、「恵まれた家庭で育ったもので」と言い訳したことがあります。しかし政治資金規正法が個人の献金についても上限を定めているのは、金の力で政治が左右されないためです。鳩山氏がまともな説明を避け続けるなら国民との乖離(かいり)は決定的になります。



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