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2009年11月25日(水)「しんぶん赤旗」

水俣病被害者の救済求める申し入れ

全文

日本共産党国会議員団


 日本共産党国会議員団が24日、小沢鋭仁環境相に行った「『不知火海沿岸住民健康調査』をふまえ、最高裁判決にもとづいたすべての水俣病被害者の救済を求める申し入れ」の全文は次の通りです。


 鳩山新政権が誕生し、水俣病被害者の救済をどのようにすすめるのかが問われています。小沢大臣は就任後の記者会見で先の国会で成立した「特別措置法に基づいてしっかり対応していく」と述べていますが、水俣病の被害は「特措法」が想定している枠内にはとどまらない深刻なものです。

 わが党が先の国会で厳しく指摘したように、「特措法」はすべての被害者を救済することになりません。そのことは、民間医師や被害者団体などが行った「不知火海沿岸住民健康調査」(9月20・21日)など、公式確認されてから50年が経過した今なお、救済されていない被害者が広く存在している実態が端的に示しています。

 この調査結果では、1044人が受診し、データ提供を了解した974人中904人(93%)に水俣病の症状があることが明らかになりました。公害健康被害補償法による認定申請指定地域、保健手帳対象地域外の受診者213人中199人に症状が認められています。チッソ水俣工場が有害物質の排水をとめた1968年の翌年以降の出生者、他地域からの転入者59人中51人に症状が確認されています。こうした被害者がこれまで救済を求めたり、検診を受けなかった理由として、「差別をおそれた」46%、「情報がなかった」が41%という結果でした。

 これらは、政府がすすめてきた被害者の地図上、時間上の「線引き」や、「申請」による「救済」策が根本的に誤っており、「救済措置開始後3年以内を目途に救済措置の対象者を確定」(特措法)することが全く実態に即していないことを証明しています。

 さらに「ノーモア・ミナマタ訴訟」の原告は、特措法成立後も増え続け、現在1876人、さらに第18次提訴(11月18日)で2000人を超えました。

 同原告団・弁護団は、10月23日、政府に対し「最高裁判決が確定した現在、国、熊本県、チッソは、最高裁判決に従い、被害者の要求に応えて、その責任にもとづく解決及び補償を行うこと」「裁判所での協議により、原告、被告との間で基本合意を結び、共通診断書を基に判断をし、双方の合意にもとづき提訴者を救済すること」を求めています。

 このような状況を踏まえ、日本共産党国会議員団は、改めて水俣病被害者の一刻も早い救済と解決をもとめ、政府に申し入れを行うものです。

 1、公健法の指定地域及び治療研究事業・新保健手帳の発行地域以外にも水俣病被害者の存在が確認された「住民健康調査」を直視し、すべての被害者を救済するために、不知火海沿岸及び阿賀野川流域の住民、居住歴のある方々の健康調査を国及び県の責任でただちに実施すること。

 2、公健法の「線引き」を見直すとともに「特措法」による被害者切り捨ての仕組みを根本的にあらためる。とりわけ、最高裁判所判決をもとに、公健法の1977年(昭和52年)の判断条件をあらため、すべての水俣病被害者を救済する恒久的枠組みをつくること。

 3、裁判原告に対し、田島一成環境副大臣が、「(裁判について)和解による解決を図りたい」(10月31日)と述べていますが、原告団・弁護団の「基本要求」を真摯(しんし)に受け止め、「特措法」の枠内での救済に押さえ込むのではなく、司法救済による迅速かつ広範な救済をはかるため誠実に対応すること。

 4、司法において係争が終了し、その後行政から水俣病として認定された被害者についてチッソは補償協定による補償を拒否しています。これまでチッソと各患者団体との補償協定は希望するものは誰でも締結できることを双方で合意しており、直ちにチッソに対し、締結の指導を行うこと。

 5、最高裁判決以降、新たな対象者が広がり、各種の水俣病に関する手帳が発行されている不知火海沿岸地域においては自治体の国民健康保険財政が圧迫されています。政府の責任において地方自治体の財政負担がなくなるように措置すること。


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