2009年11月25日(水)「しんぶん赤旗」
「労基法違反許されない 安全脅かす」
時間外協定7割どまり
医師含まないケースも
医師ユニオン・ 医師連盟調査
地域の拠点病院のうち、時間外労働に関する労働基準法の「36協定」を結んだ所は7割にとどまることが22日、全国医師ユニオンと全国医師連盟の調査で分かりました。協定があっても医師以外の職種を対象とする病院も多く、ユニオンなどは「労基法違反は許されず、医療の安全を脅かす」として早急な改善を求めています。
調査は、全国約8000の病院の中から大学病院、国公立病院、赤十字病院など地域の拠点となる1549病院を選び、労働基準監督署に直近1年半に結ばれた36協定を開示請求しました。開示されたのは約7割の1091病院。開示がなかった病院はこの1年半に締結が行われなかったとみられます。
36協定なしに残業をさせることは違法ですが、協定に医師が含まれると確認できたのは6割弱。対象は看護師などだけで医師が除外されているものが少なくありませんでした。
1カ月の時間外労働は45時間以下の協定が過半数でしたが、ユニオンは「ほとんどが24時間高度医療を提供する病院である現状から協定は全く守られていないと言える」と指摘しています。
一方で、過労死ラインといわれる月80時間以上の時間外を定めた協定が168病院(15%)もあり、最長は200時間でした。
ユニオンなどは「公的医療機関の多くに労基法違反があることが判明した。勤務医の労働問題に関する行政の無策が医師抑制政策を安易に実行させ、勤務医を疲弊させ、医療崩壊を引き起こした」として速やかな労働条件改善を求めています。
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