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2009年11月21日(土)「しんぶん赤旗」

パレスチナ国家樹立

安保理決議提案に波紋


 【カイロ=松本眞志】パレスチナ自治政府のアッバス議長の側近、アリカット・パレスチナ解放機構(PLO)交渉局長が、東エルサレムを首都とし、ヨルダン川西岸とガザの全域を版図とするパレスチナ国家樹立を支持するとした国連安保理決議の採択に協力を呼び掛けたことで、当事者の間に波紋が広がっています。


「米変節」で混迷

 イスラエルはこの間、占領地でのユダヤ人入植地拡大を推進し、「入植地拡大凍結は和平交渉再開の最低条件」と主張するパレスチナ側と鋭く対立してきました。しかし、先に中東を訪問したクリントン米国務長官が「入植地拡大凍結を和平交渉再開の条件としない」とイスラエル寄りの姿勢を示したことで事態は混迷、パレスチナ側を失望させました。

 パレスチナ内部ではクリントン氏の見解を米国の「変節」とみなし、交渉なしに国連安保理の支持決議を得て「独立」を宣言すべきだとの声が浮上。同自治政府のファイヤド首相が2011年までに、国家樹立に必要な機関や制度を準備しているとの報道もあります。

 パレスチナ側の動きに対し、イスラエルのエルダン環境相は「西岸の入植地を(イスラエルに)併合するための法律を国会で通すことも検討すべきだ」とけん制。ネタニヤフ首相は、自ら和平交渉再開を困難に陥れたことへの責任にはふれず、「和平交渉に代わる手段はない」と反発しました。

 その一方でイスラエルは「エルサレムに併合した」と主張する東エルサレム近郊のギロ入植地で900戸の入植者住宅建設を承認し、入植地拡大を着々とすすめています。

 米国はイスラエルの入植地拡大に「遺憾」を表明する一方、「和平交渉に基づくパレスチナ国家実現」を主張し、安保理での拒否権行使も示唆してパレスチナ側の動きに反対しています。

 欧州連合(EU)の議長国スウェーデンのビルト外相、ソラナ共通外交・安全保障上級代表のいずれも、パレスチナ国家樹立は「時期尚早」との認識を示しています。

 パレスチナのイスラム武装抵抗組織ハマスは17日、占領終結までパレスチナ国家樹立はできないとの見解を表明。メシャル政治局長は「自治政府が抵抗活動に反対する行動を取り、敵と協力を続ける限り不可能」と批判しました。


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