2009年11月21日(土)「しんぶん赤旗」
詰め込み やめて
規制緩和後 死亡事故が急増
認可保育所
認可保育所での乳幼児の死亡事故が2001年度以降急増していることが、「赤ちゃんの急死を考える会」(櫛毛冨久美会長)の調べで分かりました。同会は20日、記者会見で調査結果を公表するとともに、厚生労働省の山井和則政務官や福島瑞穂少子化担当相らと面会し、認可保育所の面積基準の緩和方針の撤回を要請しました。
遺族・家族が厚労省に要請
同会は、保育施設などでの事故で子どもを亡くしたり重度障害を負わされたりした遺族・家族約100世帯と支援する弁護士で構成。このほど、1962年から08年までに起きた死亡事例240件を分析しました。
その結果、認可外施設での事故が全体の約85%と多いものの、認可保育所でも、00年度までの40年間に15件だった死亡事故が、01年度以降の8年間では22件と大幅に増えていることが分かりました。
分析に当たった寺町東子弁護士は「01年は小泉内閣の『待機児童ゼロ作戦』で、認可保育所への定員以上の詰め込みや保育士の非常勤化が推奨された年だ」と指摘。「規制緩和と事故増加の因果関係を政府が調査することなしに、さらに基準を緩めることは許されない」と述べました。
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同会の小山義夫副会長は、「近年の認可保育所での事故は、小石やミニトマトの誤嚥(ごえん)など保育士がそばにいれば防げたはずのものが多い。現場が大変で、子どもに目配りできなくなっているのではないか」と懸念を語りました。
会見には、認可保育所で子どもを亡くした2遺族も参加。「子どもを失って初めて、保育の質が本当に下がっていると分かった。事故があってからでは遅い」「預かってくれるだけでありがたいと思っていたが、今はなぜ預けてしまったのかという後悔しかない。待機児解消のためであっても、子どもが犠牲になっては何にもならない。われわれのような思いをする親が出ないよう、安易な規制緩和は再考を」と訴えました。
早急に調査 厚労省
同会の申し入れに山井厚労政務官は、政府がこれまで行ってこなかった保育施設での死亡事故の実態調査を早急に行うと表明。「結果は公表し、地方分権改革の議論の参考としたい」と述べました。