2009年11月20日(金)「しんぶん赤旗」
パチンコ店内ATM運営
ALSOK(綜合警備保障) 一括受注
警察との“深い関係”指摘も
「のめりこみ」被害批判のなか
客が過大な資金を使ってしまう「のめりこみ」被害が広がると批判を呼んでいるパチンコホール内ATM(現金自動預払機)問題で、その管理・運営業務を大手警備会社「綜合警備保障」(ALSOK、東京・港区)が一括して受注していることが19日、本紙の調べでわかりました。
ホール内ATM設置の事業はトラストネットワークス(東京・中央区)が主体となっていますが、同社は従業員約20人の企画・運営会社にすぎません。設備の制御、現金の回収・補充・精査、金詰まりなどトラブルへの対応をはじめ、日常のATMの管理・運営業務はすべてALSOKに委託しています。
トラストネットワークスの担当者は本紙の問い合わせに「複数の警備会社の中から適切な業者選定手続きの上、ALSOKに決めた」と答えています。
コンビニ店やショッピングセンターなどに設置されたATMの管理業務はALSOKの収益の大きな柱となっています。しかし、同社の直近の決算説明では、サラ金ATMの撤去・解約で約10億円の収入減が生じるなど「受注の伸び悩み」に直面しているとしています。
パチンコホール内ATMは現在、全国に150台を設置する試行段階ですが、トラスト社の親会社である「インターネットイニシアティブ」(IIJ)は今後4〜5年間に8000台まで拡大するとしており、ALSOKにとっても大きな新市場となります。
ALSOKの村井温社長は1995年に中部管区警察局長を最後に退職した警察高級官僚OB。同社は各地の関連会社も含めて警察退職者を多数受け入れ、警察との深い関係が指摘されています。
パチンコホール内ATMは、風俗営業適正化法にもとづき、設置ホールが所轄の警察署に逐一報告をしています。警察庁はこれへの規制策を、まったくとっていません。
本紙はALSOKに対して、今後の収益見込み、事業からの撤退の可能性はないかを問い合わせましたが、同社広報は「弊社としてお答えできる立場にございませんので、回答はいたしかねます」としています。
綜合警備保障 東証1部上場の警備、セキュリティーサービス会社(1965年設立)。ALSOK(アルソック)はブランド名。創業者の村井順氏は元九州管区警察局長、前社長の漆間英治氏は元中部管区警察局長と、警察高級官僚の天下り先となっています。