2009年11月19日(木)「しんぶん赤旗」
企業の内部留保 10年で倍増429兆円
超不況下でも ため込む
社会還元し 内需拡大急げ
労働総研調査
昨年来の深刻な不況にもかかわらず、企業がため込み利益である「内部留保」を依然として増加させていることが、労働運動総合研究所の調査で分かりました。18日発表した経済危機打開の緊急提言で明らかにされたものです。この10年で内部留保は倍加し、428・6兆円にも達しており、労働総研は「労働者と中小企業を犠牲にしてため込んだ内部留保を還元し、内需拡大をはかることが急務だ」と指摘しています。
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内部留保は、剰余金や積立金などの名目でため込まれている利益です。企業の売上高は2008年10〜12月期が11・6%減、経常利益も同64・1%減など3期連続で激減する一方で、内部留保は1・7%増、0・6%減、1・4%増と増加傾向が続いています。
内部留保が急増したのは派遣労働が原則自由化された1999年以降で、209・9兆円から218・7兆円も増加(グラフ)。このうち69・3%は資本金1億円以上の企業がため込んだものです。
この急増分を労働者などに還元した場合の経済効果について、最低賃金の時給1000円への引き上げや、非正規雇用者の正規化をはじめ働くルールの確立など五つのケースで試算(表)。国内需要総額の半分に相当する国内需要の拡大で国内生産などが誘発され、3%を超える経済成長が上積みされると指摘。税収増も今年度補正予算の公債発行額にほぼ匹敵します。
最賃時給1000円に必要な財源は、急増分のわずか2・7%。非正規の正規化も3・5%あればできるもので、異常な内部留保を取り崩すだけで可能だと強調しています。
都内で会見した牧野富夫代表理事、木地孝之研究員らは、内部留保の異常なため込みが内需を縮小させ、国際的にも落ち込みが著しい日本経済の危機の原因となっていると指摘。内部留保を労働者と社会に還元し、内需を拡大することは急務だとのべました。
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