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2009年11月16日(月)「しんぶん赤旗」

富士通 正社員切り

子会社岩手工場 2000人リストラ計画

派遣か退職か迫る


 「非正規切り」に続いて「正社員切り」をすすめる大企業に批判の声が上がっています。約2000人のリストラをすすめている富士通マイクロエレクトロニクス(FML)の岩手工場(岩手県金ケ崎町)では―。(田代正則)


 午前8時50分、深夜勤務を終えた労働者が自動車で出ていきます。10月末の第1次配転・退職で100人近くが工場を去りました。

 FMLは昨年3月、富士通から半導体部門を分社化。年末までに派遣社員100人を削減し、今年1月には、岩手工場で1700人中1130人、会津工場(福島県会津若松市)で1500人中800人を京浜地帯や北九州などの富士通グループ16社へ「再配置」する計画を発表しました。

 労働法では、グループ会社であっても本人の同意なく転籍させることはできません。正社員から契約社員になるよう強要したり退職を強要するのは違法です。ところが、労働者に配られた進路調査票には、「再配置」と「退職」しか選択肢がなく、退職強要に等しい内容でした。

 夜勤明けの40代男性は、「どこでも働こうと再配置先の希望を出したけど、不合格。多くの人が、適性がない、採用枠がないと言われ、不採用になっている」と話します。

 「第2希望で決まらなければ、富士通系列の派遣会社しかない。『派遣になるか、富士通から去れ』と言っているようなものです」

 別の40代男性は、「小学生と保育園児がおり、妻も仕事があるため、配置転換には応じられず、退職せざるを得ませんでした。成果主義が導入されて賃金は下がり続け、楽しく働ける職場ではなくなっていました」。

再配置先は…

 岩手県内に富士通が確保した職場は、300人分。そのうち、40人分の富士通100%出資の介護事業「ケアネット」は、1年契約の非正規雇用です。

 このケアネットには、岩手県に先立ってリストラが始まっている福島県で、政府の「ふるさと雇用再生特別交付金」が使われており、正社員を非正規に置き換える雇用破壊に税金が投入されています。

 人員削減をしながら、工場は24時間フル稼働。勤務時間は、月153・7時間から161・3時間に延び、残業も行われています。

 岩手県では、富士通以外にも、ソニー千厩テック(正社員870人)の閉鎖などで打撃を受けています。9月末現在、来春高卒予定の県内就職希望者の内定率は、39・6%と前年比10ポイント以上ダウンしています。

地域経済守れ

 日本共産党岩手県委員会やいわて労連は、富士通全体の内部留保を使って雇用と地域経済に責任を持つことや違法な退職強要をしないよう求めてきました。

 日本共産党は、退職者を自己都合扱いにして、雇用保険の給付期間が短縮されないよう申し入れました。斉藤信岩手県議が県議会で質問。会社都合の退職として失業給付が受けられることを確認しました。

 いわて労連は、本人の同意もなく他会社に転籍させたり、契約社員になるよう迫ることは違法であり、リストラ・解雇をやめさせようと訴えたビラを地元紙に折り込みました。

 10月には、鈴木露通いわて労連議長と小川英雄福島県労連議長が、日本共産党の高橋ちづ子衆院議員の同席で、厚労省に「正社員切り」ストップを指導するよう要請しました。

 鈴木議長は、「長年、地域に支えられてきた大企業が雇用と地域経済を守る社会的責任を果たすことが求められます。住民や自治体と力をあわせ、雇用と地域経済を守るたたかいを広げていきたい」と語っています。



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