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2009年11月15日(日)「しんぶん赤旗」

主張

日米首脳会談

沖縄県民の願いに壁を作るな


 鳩山由紀夫首相とオバマ米大統領の2回目の首脳会談が東京で開かれ、日米関係やアフガニスタン問題などを話し合うとともに、核軍縮と地球温暖化問題で共同文書を発表しました。

 沖縄県宜野湾市の米軍普天間基地の撤去については、閣僚級の作業部会で検討することを確認しました。懸念されるのはオバマ大統領があくまでも名護市辺野古への新基地建設の合意を守るよう求め、鳩山首相も基地撤去を正面から求めず、日米同盟の「深化」や「米軍再編」の合意を踏まえると約束したことです。

正面から撤去を求めよ

 住宅密集地の真ん中に位置して宜野湾市民の生活を脅かし、世界でもっとも危険な基地とまでいわれる普天間基地を撤去することは、沖縄県民と宜野湾市民の切実な願いです。日米政府も13年前から撤去を約束しています。鳩山首相も会談で、総選挙のさい「県外・国外」移設を約束したこともあげ、「沖縄県民の期待感が強まっている」と説明しました。

 首相が公約を守るなら、普天間基地の撤去を求めて正面からオバマ大統領と交渉すべきです。先に来日したゲーツ米国防長官の新基地建設の約束を守れというどう喝におびえ、首脳会談までに決着をつけようとしたシナリオが実行できなかったのは県民・国民の批判に押されたからです。しかし撤去を正面から要求せず、閣僚級の協議で合意したのは、県民の願いをまともに受け止めたものではありません。日米同盟の重要性や「米軍再編」の合意などを持ち出すのは、県民・市民の切実な願いの実現に、壁を作るだけです。

 首相は閣僚級作業部会で「早い時期に解決する」といいましたが、オバマ大統領は、会談後の記者会見でも、協議は新基地建設の合意を実現するためのものだと繰り返しています。県民に期待をもたせる説明は、ごまかしといわれても弁解の余地はありません。

 首脳会談で鳩山首相は、日米同盟を「日本外交のすべての礎」といい、来年の現行安保条約締結50周年に向けて「新しい協議のプロセスを進める」とのべました。しかし、日米軍事同盟を絶対視する立場で、県民・市民が反対している基地を無理やり押し付けるような態度では、日米関係のまともな発展など不可能です。

 かつてラムズフェルド米国防長官も「歓迎されないところには基地はおかない」と発言した(2004年)ことがあります。日米政府が普天間基地を撤去するという約束を守ってこそ、「建設的で未来志向」の日米関係が開かれます。

基地は平和に役立たぬ

 普天間など沖縄の基地問題を検討する前提が、「(米国の)抑止力を維持すること」(岡田克也外相)だと、米軍基地が県民の平和や安全に役立っているようにいうのはとんでもないごまかしです。普天間基地に駐留する海兵隊は、アメリカが世界中で起こす戦争に真っ先に駆けつける殴りこみ部隊です。そんな危険な部隊の基地を撤去しても県民の安心が増すだけで、平和や安全を脅かすことにはなりません。

 宜野湾市では去る8日、2万人以上の県民・市民が集まって、改めて基地撤去を要求しました。こうした声に応え、直ちに撤去を求めることが政府の責任です。



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