2009年11月12日(木)「しんぶん赤旗」
米大統領 東アジア歴訪
「新しい協力関係」へ
包括的な関与を目指す
オバマ米大統領が13日から初めて東アジアを歴訪します。ホワイトハウス高官は「同盟関係を刷新し、新しい協力関係をつくる」と目的を説明。経済危機から安全保障、気候変動問題に至るまで課題は広範囲にわたります。今回の歴訪では、東アジアで米国自身をどう位置づけるかという大きなテーマが問われます。(ワシントン=小林俊哉)
オバマ氏は13日の訪日を皮切りに、14〜15日にシンガポールでアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に参加。15日の初の米・東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議後、16日に訪中し、19日に最後の訪問地・韓国に入ります。
多国間枠組み
歴訪にあわせて、米有力シンクタンク・外交問題評議会のアジア研究グループは「新しいアジアにおける米国」と題する報告書を発表しました。従来の外交政策が2国間同盟の強化に比重を置きすぎ、アジアで発展している多くの多国間枠組みを軽視してきたとして、政策の転換を求めたものです。
ホワイトハウス高官も、「今回の最も重要なテーマは、米国が太平洋の一国家として21世紀におけるアジアの重要性を理解し、包括的に関与することだ」と強調しています。
APECてこ
「アジアの台頭を最も顕著に表しているのは中国」(ベイダー米大統領特別補佐官)と強調されるように、胡錦濤国家主席との会談は焦点の一つ。米中の「永続的で安定した関係の構築」をめざし、北朝鮮問題や気候変動問題でも協力強化をはかる構えです。
米国務省のカート・トンAPEC代表代行は、「環太平洋機構としてのAPECは決定的に重要だ」と改めて強調。APECをてこにアジア・太平洋地域の経済統合を進める意向を表明しています。
一方、鳩山由紀夫首相が表明している東アジア共同体構想については、「さまざまな方法で東アジア諸国が関係を強めることには、十分な理由がある」と述べています。
役割が焦点に
訪日についてベイダー特別補佐官は、「鳩山政権はより対等な日米関係を求めており、われわれはその方向を歓迎する用意がある」と言います。
米国内には、米軍基地問題をめぐってゲーツ国防長官が訪日で、「日本に米政府の意向を押し付けようとしているとの議論を引き起こしてしまった」(シーラ・スミス外交問題評議会上級研究員)との懸念があります。
ベイダー氏は、今回の訪日では「基地問題が中心問題とはならない」と指摘。両国が国際社会で果たす役割に焦点を当てる見通しです。オバマ氏が東京で行う演説は、政治、安全保障、経済に触れ、アジアでの米国の関与について見解を述べ、日米同盟を再確証する内容だとしています。
韓国では李明博(イ・ミョンバク)大統領と会談。アフガンへの再派兵を決めた李政権と米韓同盟の役割や、米韓自由貿易協定(FTA)批准問題などを話し合うとみられます。