2009年11月12日(木)「しんぶん赤旗」
主張
障害者自立支援法
新法制定へ 具体化を急げ
鳩山由紀夫首相は臨時国会の所信表明演説で、「障害者自立支援法の廃止」を明言しました。法施行わずか3年半で、障害者に重い負担と苦しみを押しつけ、尊厳を傷つけてきた悪法をここまで追い込んだのは、障害者・家族の大きな運動によるものです。
しかし、法廃止への道筋は、その後、まだ何ら示されていません。政府は、障害者の声を十分に反映させ、法の廃止、新法制定へ具体化を急ぐべきです。
応益負担は即刻撤廃
「4年間で応益負担から応能負担に変える新制度を創設する」と長妻昭厚生労働相は説明しています。しかし、新法の実現を一日も早くというのが障害者の切実な願いです。
しかも、新法ができるまで、深刻な現状を放置しておくわけにいきません。障害者や家族は、食事やトイレなど障害者が生きていくうえで不可欠な支援を「益」とみなして利用料を課す応益負担は憲法違反だとして、裁判にまで訴えているのです。
障害者の福祉や医療は本来、無料であるべきですが、政府が「応能負担にする」というのであるならば、来年4月からただちに実施に踏み切るべきです。
そのために、臨時国会で、定率1割負担を規定している自立支援法29条の一部削除をおこない、来年度予算で必要な財源措置を講じるべきです。
障害者事業所の経営を危機に陥れている報酬の「日払い」を「月払い」制に戻すことも一刻の猶予がなりません。
新法を待たず、障害者の苦しみを改善する緊急対策に、ただちに全力でとりくむ、この姿勢が新政権に求められています。
日本共産党は、法廃止後の新法について、憲法と国連・障害者権利条約の趣旨にもとづき、障害者が人間らしく生きる権利を国の責任で保障する、「総合的な障害者福祉法」とすることをすでに提案しています。
一方、鳩山首相は所信表明演説で、「新しい公共」を目指すとして、福祉などは「行政が予算を増やしさえすればすべての問題が解決するというものではない」とし、「人と人の支え合い」が重要だなどと強調しました。
「支え合い」それ自体は大切なことです。しかし、「自己責任」論によって国の責任を後退させ、障害者に過酷な負担を強いる応益負担を導入したのが自立支援法でした。同じ道に後戻りするようなことは、絶対にあってはなりません。
新法の制定や年金、雇用、教育など関連法制の改革には、当然、財源が必要です。日本共産党は、年5兆円にのぼる軍事費や大企業・大資産家への優遇税制にメスを入れれば十分に確保できると提案しています。こうした方向でこそ、障害者福祉の明るい未来が開けます。
障害者の参加で新法を
東京・日比谷野外音楽堂で10月30日開かれた「さよなら障害者自立支援法、つくろう私たちの新法を」のスローガンを掲げた集会には全国から1万人の障害者らが参加し、「これからが正念場、新法へ障害者の声を反映させよう」と誓いあいました。
日本共産党は、障害者の人権を守る新法の実現へ、障害者の運動と連帯して全力をあげます。
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