2009年11月10日(火)「しんぶん赤旗」
医療保険改革案を可決
米下院本会議 保険加入率、96%に
オバマ大統領「歴史的な投票」
【ワシントン=西村央】オバマ米政権の内政上の最重要課題の一つである医療保険改革法案が7日、下院本会議で可決されました。今後、内容の異なる法案を審議している上院での議決後、上下両院が調整を図ります。上院では、下院が承認した公的医療保険への反対が強く、調整は難航が予想されます。
下院が可決した法案では、公的医療保険の導入や低所得者向け医療制度「メディケイド」の拡充を内容としています。これにより、新たに3600万人が医療保険に加入し、現在85%未満にとどまっている医療保険加入率を96%にまで引き上げることを目指しています。
医療保険改革にかかる費用は、今後10年間で8910億ドル(約80兆円)と見積もっています。財源は、年収50万ドル(約4500万円)以上の高額所得者(夫婦では100万ドル超)からの増税などでまかなうとしています。
7日の採決は賛成220に対して反対が215という小差となりました。民主党議員258人のうち39人が反対に回り、共和党議員1人が賛成しました。
この可決について、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版、8日)は「1965年の高齢者向け医療制度(メディケア)制定以来もっとも大きなセーフティーネット樹立につながる」と、その歴史的意味を指摘しています。
オバマ大統領は、7日午前、連邦議会を訪れ、医療保険改革法案採択を前にして「このような機会は1世代のうちに1度あるかないかというもの」と表明。法案可決後、「歴史的な投票だ」と評価しました。