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2009年11月10日(火)「しんぶん赤旗」

主張

財界の予算要求

あまりに身勝手が過ぎないか


 来年度予算の編成作業が本格化し、今週からは鳩山由紀夫政権が発足させた行政刷新会議の「事業仕分け」の作業も始まります。

 そうしたなかで見過ごせないのは、日本経団連や経済同友会など財界が相次いで発表した予算要求で、相変わらず社会保障予算の削減や消費税の大増税、大企業の法人税減税などを並べ立てていることです。財界が支持した自公政権が選挙で敗れてもなお身勝手な要求を並べ続ける財界の策動を打ち破らない限り、国民の願いは実現しません。

福祉破壊テコに負担要求

 「社会保障給付の効率化を徹底しつつ、必要な給付増に向けて安定財源を確保」(日本経団連「安心で信頼できる社会保障制度の確立に向けて」)、「消費税率は(中略)国・地方・年金目的を合わせ、17%に引き上げることが必要」(経済同友会「歳出・歳入一体改革の早期断行を求める」)、「30%を目途に法人実効税率の引き下げを」(日本経団連「税制改正に関する提言」)等々、財界の要求は露骨です。

 財界は長年にわたった自民党政権や自公政権の時代に、大企業のもうけを拡大する産業基盤投資などの大型公共事業に予算を優先配分するよう求める一方、社会保障など国民向けの予算は削減するよう求め続けてきました。公共事業には社会保障費を大幅に上回る予算が使われ、「逆立ち財政」と批判されてきたのは有名です。

 財界には自公政権が終わってもそうした大企業のための財政運営への反省はありません。せいぜい「公共事業を含む裁量的経費のムダの徹底的削減」(経済同友会)をいうぐらいです。それどころか「構造改革」路線を強行させ、年金も医療も介護もズタズタにしてしまったことを逆手に使い、社会保障の財源を口実に、消費税を大幅に増税し、国民にもっと負担してもらうしかないというのです。とんでもない開き直りというほかありません。

 年金や医療など「構造改革」路線で破壊された社会保障を立て直すことは急務であり、そのためには財源が必要です。しかしその財源は、なによりも軍事費や大企業向けの予算などムダな予算の削減と、減税しすぎている大企業・大資産家向けの税制を見直し、負担能力に応じた負担を実現することでまかなうべきです。

 財界の身勝手ぶりは、消費税については大幅な増税を求めているのに、大企業の法人税については「実効税率の引き下げ」(日本経団連)、「法人事業税の廃止」(経済同友会)など、いっそうの軽減を要求していることに端的にあらわれています。大資産家向けの金融証券税制についても、日本経団連はさらに軽減を求めています。自分たちは応分の負担をせず国民に負担増を求めるのは図々しいにもほどがあります。

国民の世論と運動強めて

 財界がみずから応援した自公政権に審判が下ってもなお態度を変えようとしないのは、反省がないためか、それとも、それ以外思いつかないためか。いずれにせよ、こうした大企業中心の政治を改めさせることがいよいよ急務です。

 財界は労働者派遣法の抜本改正や25%削減を中期目標にした温暖化対策でも抵抗を強めています。国民の世論と運動で財界による逆流を許さないことが重要です。



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