2009年11月4日(水)「しんぶん赤旗」
イスラエル入植地拡大問題
アラブ側、米を批判
「和平交渉の望み絶つ」
【カイロ=松本眞志】クリントン米国務長官は2日、モロッコのマラケシュでアラブ各国の外相と会談しました。
会談では、クリントン氏が先のイスラエル訪問で、「ユダヤ人入植地拡大凍結は和平交渉再開の条件とはならない」と表明したことにアラブ側から批判が続出しました。アラブ連盟のムーサ事務局長は、オバマ米政権の中東和平交渉再開を急ぐ姿勢が入植地問題の解決を失敗に終わらせるとの懸念を表明。「サウジアラビア、エジプトを含むすべてのアラブ諸国は深く失望した」と語りました。
オバマ米大統領は就任当初、入植地凍結を強く訴えていました。しかし最近その主張は、入植地への住宅建設「抑制」にとどめるなどトーンダウンしています。パレスチナ内部では、「オバマ政権の『変化』は和平交渉復活のいかなる望みも絶つものだ」との批判が起きています。
クリントン氏は「イスラエルは入植地拡大を抑制するとの意思を表明し、米国とパレスチナ、アラブ世界の入植地拡大凍結の要求に応えた」と釈明。一方で、「入植地拡大を抑制するとのイスラエル側の申し出は、米国の期待に反してもいる」と述べ、イスラエル側にさらなる和平への努力を求めるなど、アラブ側への対応に苦慮する場面もみられました。