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2009年11月4日(水)「しんぶん赤旗」

主張

アフガニスタン

深まる混迷抜け出すには


 アフガニスタンの大統領選挙は、7日の決選投票にアブドラ候補(前外相)が辞退を表明し、カルザイ候補(現大統領)の「不戦勝」が決まりました。

 アフガンに派兵する米国などはこの選挙で政権の正統性を確保し、“破たん国家”での「法の支配」の回復を通じて、アフガン戦争の情勢転換をはかる構えでした。その思惑が外れたことで、米国のアフガン戦略は一段と窮地に追い込まれています。

誤った米の戦略

 8月の大統領選挙は投票率が低かったうえ、カルザイ側に不正投票が多かったことを、米国も認めています。選挙はカルザイ政権が不正・腐敗にまみれ、必要な支持を得ていないことを示しました。

 米国はしぶるカルザイ大統領に決選投票を受け入れさせたものの、政治混迷は収まりませんでした。カルザイ政権の正統性には内外で疑問が強まっています。

 オバマ米政権にとって衝撃的だったのは、アフガンに駐在したある米外交官の辞任とオバマ政権のアフガン戦略への批判ではなかったでしょうか?

 アフガン南部ザブール県で復興支援チームの上級代表を務めていたマシュー・ホー氏(元米海兵隊大尉)の辞表が明らかになったのは先月下旬です。辞表は「米国の(カルザイ)政権への支持および(米軍が戦っている)武装勢力の真の性格への誤った見方は、(かつての)南ベトナムへの米国の関与を思い起こさせる」と指摘しています。

 同氏は、武装勢力は大部分がタリバンの旗に集まっているのではなく、「外国兵の存在と自分たちを代表しないカブールの政権による課税に反対」なのだといいます。米軍の駐留こそが武装勢力の活動に正当性を与えていると告発しています。米国務省のケリー報道官は記者会見で、ホー氏の批判を「非常に重く受け止めている」と繰り返しました。

 武装勢力タリバンは外国軍への攻撃を強めています。米兵の月間死者数は先月、アフガン戦争開始以来の最悪を記録しました。攻撃は国連職員にも及び、大統領選挙を支援する国連スタッフ5人が死亡する事件が起きました。公正中立であるべき国連さえ米軍と一体視される事態になっています。

 テロが許されないことはいうまでもありません。とりわけ国連職員に対する攻撃は国際社会に対する攻撃でもあり、厳しく非難されるべきです。ただ、攻撃がアフガン住民の外国軍の駐留に対する強い反感を土壌にしていることを軽視すべきではありません。

 オバマ米政権はアフガン戦略を再検討しています。現地司令官の増派要請への対応が焦点でした。政権内からは増派への反対も表面化しており、検討に時間がかかっています。

根本から見直しを

 いま求められるのは対アフガン戦略の根本的見直しです。米国と北大西洋条約機構(NATO)諸国などが軍事力でアフガンを管理しようとする限り、問題解決は望めません。外国軍は撤退すべきです。また、国際支援はアフガン国民の生活改善に直接つながるものでなければなりません。

 そのことは、日本政府が検討している対アフガン政策でも前提とならなければなりません。


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