2009年11月4日(水)「しんぶん赤旗」
経済危機でも賃上げ獲得
ボーナスも 労働者の交渉実る
ドイツ
世界的な経済危機が進行する中でも、ドイツの労働者が賃上げを獲得し、冬のボーナスの額もアップしていることがわかりました。各産業労組のストを構えての積極的な賃上げ交渉によるものです。(片岡正明)
労組系のハンス・ベックラー基金経済社会科学研究所(WSI)が2日、明らかにしたところによると、今年、ドイツの23の産業分野で労組が賃上げを勝ち取り、ボーナスの額も1・5〜7・3%上昇しました。
輸出大国ドイツは米国発の経済危機の影響を受け、ドイツ経済技術省によると、今年の国内総生産(GDP)の成長率はマイナス5%という深刻な状況の中でのボーナスアップに注目が集まっています。
背景には「不況の中でこそ、労働者の賃上げで内需を押し上げよう」とドイツ労働組合総同盟(DGB)が後押ししてきた各産業労組の賃上げ闘争があります。
ドイツ鉄道の労組は10%の賃上げを要求し、09年2・5%、10年2・0%の賃上げを獲得。州(ベルリン市とヘッセン州を除く)の公務員では、統一産業サービス労組(ベルディ)が8%の賃上げを要求し、09年3%、10年1・2%の賃上げで合意しています。また、ドイツ最大手の航空会社ルフトハンザでは客室乗務員労組が15%の賃上げを要求し、今年4・2%の賃上げとなるなど、いずれもストを構えての労働協約交渉で成果を勝ち取ってきました。この中で冬のボーナスも増額となりました。
夏冬それぞれのボーナスはドイツでは慣例として月給の半額から1カ月分の支給となっています。
ボーナスの額では旧西独地域の地方自治体公務員が2・8%のアップ。建設労働者が2・3%、ドイツ鉄道が2・5%、保険部門の労働者が1・6%の上昇など。
一方で、各産業分野の労働協約には、個別企業の業績がきわめて悪い場合は、ボーナスを全額支払わなくてもよいとする例外条項があり、20人以上の従業員を抱える企業のうち10分の1がこの例外条項適用を考慮しています。
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