2009年11月3日(火)「しんぶん赤旗」
米軍負傷兵が激増
5月以来半年で 開戦後の33%
アフガン
アフガニスタンでの米兵死者はこの10月、2001年の開戦以来月間で最多となりましたが、負傷兵も激増しています。民間ウェブサイト「イラク連合軍犠牲者総数」によると、今年5〜10月の米兵負傷者数は1386人で、開戦時からの負傷者総数4198人の33%にもなっています。(ワシントン=西村央)
米世論 増派「反対」、「賛成」上回る
アフガン駐留米兵は今年になってから約3万人増派され、現在6万8000人が駐留しています。負傷者が急増したのは増派が始まった直後の5月から。5、6月は100人台でしたが、7月からの3カ月間はそれぞれ323人、411人、310人と急速に膨れ上がりました。
アフガンで、米兵攻撃に使われている武器について、トーマス・メッツ米陸軍中将は10月29日の米下院軍事委員会の公聴会で、「簡易爆発装置(IED)が通常兵器とともに使用されている」と証言。なかでも、比較的製造が容易で、路肩などに仕掛けられるIEDによる攻撃が多く、これが米兵の負傷者増にもつながっていることを認めました。
オバマ政権はこの3月、軍事、非軍事を組み合わせたアフガン新戦略を示しました。そのもとで増派を重ねながら、反政府武装勢力タリバン掃討の軍事作戦を強化してきましたが、軍事行動は新たな抵抗を生み、米兵の犠牲者増となっています。
北大西洋条約機構(NATO)軍が中核の国際治安支援部隊(ISAF)に参加している英、独、仏、カナダなどの負傷者数については明らかにされていません。
米国を除くこれらの国の兵士の死者は、今年は10月までに171人。すでに1年間としては開戦後最悪で、9年間の合計数588人の29%となっています。米兵は今年10月までで279人の死者、開戦後の合計909人の31%です。
「掃討作戦」の名による軍事攻撃で、アフガンではおびただしい数の一般市民も犠牲になっています。
オバマ政権は新たな増派を含むアフガン戦略見直し協議が長引き、いまだに発表できていませんが、米紙ワシントン・ポストの10月下旬の調査では、増派反対が49%と、賛成の47%を上回りました。犠牲者が増えるなか、国民の目がいちだんと厳しさを増しています。