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2009年11月2日(月)「しんぶん赤旗」

ゆうPRESS

山女子急増中 ヤッホー別世界


 山に登る女性が増えています。女性誌で登山特集が組まれ、登山洋品店では女性向けのウエアもよく売れているとか。山の魅力や登山の注意点など、関係者に話を聞きました。(染矢ゆう子、栗原千鶴)


 東京都板橋区に住む会社員の高木恵さん(30)=仮名=は、昨年秋から山に登り始め、その記録をブログで紹介しています。

 美しい景色を求めて海外を旅行してきた高木さん。昨年9月に行った長野・駒ケ根の千畳敷カールのお花畑で「雲の上に日本でも、外国でもない別の世界がある」ことに気づきました。

 早速、インターネットや本で調べ、友人を誘って、山に向かいます。東京近郊の低山を手始めに、富士山、北アルプスにも登りました。

 山の魅力は、「何もない」があること。都心に暮らしていれば、欲しい物はすぐ手に入り、行きたいところにも行けます。しかし、山では目的地に行くために自分の足で歩くしかなく、必要な物は自分で背負っていくしかありません。

 「水の大切さ、道ばたに咲く花の美しさ、インスタントのみそ汁のおいしさに、一つ一つ心動かされる」と高木さん。「あえて大変な思いをして登るのは、人間としての自分らしさを取り戻すためかもしれません」

 標高の高い山の頂には、想像を超えた世界が広がり、「生きててよかった」と感じます。それと同じぐらい低山も魅力的だといいます。

 「生活している街を見下ろすと、仕事でかかえているストレスや悩みが小さく、客観的に見えます。また新しい気持ちで仕事に向かえる」と高木さん。

 普段は一日中パソコンに向かう毎日。職場の会話はありません。忙しいときは終電までの残業、休日出勤が続きます。

 「週末に森に向かうことでいいバランスを保てる。楽しみながら、長い距離を歩くので体調がよくなり、走って息が切れなくなりました。朝、一本早い電車に乗れるようになりました」

 山を安全に楽しむために、気をつけていることは下調べと準備。「どんなに低くても、山は自然の一部。なめてはいけません。特に山用のレインウエアは必携」と語ります。

 登り始めたばかりのころ、山道で雨に降られた経験があります。山用ではないレインウエアを持っていましたが、すぐには着ず、ぬれた状態で羽織りました。岩場でレインウエアが切れて、ずぶぬれになり、山を下りるまで体の震えが止まりませんでした。

 「今年7月、北海道で多くの人が亡くなった低体温症に、私もなりかかっていました。私は自分の経験から、山用のレインウエアは、きちんとしたものが必要だと友人に話しています」

 高木さんの「山女子ブログ」 http://yamajoshi.blog85.fc2.com/

登山を楽しむ9カ条

 (1)一人での登山は非常に危険。仲間を募ろう。

 (2)行く山を知ろう。初心者でも行ける山か、しっかり情報収集を。

 (3)自分を知ろう。どれくらいの体力があるのか。日常的にエレベーターを使わず、階段を登るなどして体力をつけよう。

 (4)靴は軽くてフィットするものを。低い山でも軽い登山靴などがオススメ。

 (5)荷物は持ちすぎず、食料は各自で持とう。

 (6)早め早めに行動を。早い時間に始動し、下山や山小屋への到着は早めに。

 (7)天気予報をよく聞こう。高層天気図が読めれば、2〜3日先までおおまかな天気が分かるから、GOOD!

 (8)雷鳴が聞こえたらすぐ避難。下山したり、山小屋へ向かおう。

 (9)足元がふらついたりペースが極端に落ちたり、体調の異変に気づいたらすぐ引き返そう。

低山でもこれだけは必要

 〔地図〕最新のものを手に入れる

 〔雨具〕命にかかわる必需品。いいものを選ぼう

 〔食料〕カロリーが高くて、軽いもの

 〔水〕スポーツドリンクも持っていく

 〔携帯電話〕なるべく山でも通じる携帯電話を。いざというときのために電池は節約を

 〔ヘッドランプ〕手が空くので便利


安全登山どうすれば

日本勤労者山岳連盟の遭難対策部長井芹昌二さんに聞く

 日本勤労者山岳連盟の井芹昌二・遭難対策部長に、登山を楽しむための注意点などを聞きました。

  ◇

 ――山に行く若い人が増えています。

 井芹 山の魅力の感じ方は、年代によっても違うと思いますが、共通しているのは大自然に抱かれる心地よさでしょうか。自分の足で登り、無事に家に帰ってきた安ど感や大自然を相手にしてきた達成感でしょう。

 最近の山は「手軽」に行けるようになりました。交通手段が発達し、バスや車で一定の高さまで行くことができます。ロープウエーに乗れば、夏でも雪のある場所まで行ける山もあります。

 山が身近になって、楽しむ人が増えることはいいことです。

 しかし、身近になったぶん、そこに落とし穴もあります。ここは気をつけなければいけません。

 暗くなる前に

 ――事前の注意点は?

 井芹 登山を楽しむために、高い山でも低い山でも、行きたい山をちゃんと知ることが大事です。そして自らの体力や持っている装備などを考慮し、行くことができるかどうかを冷静に判断することです。

 山では早い時間に行動を開始し、昼には下山や山小屋へ移動するめどをつけることも大切です。暗くなるとパニックになり、ミスを犯しやすくなります。

 ――当日は?

 井芹 荷物はあまり重くなりすぎないようにしてください。高カロリーのものがいいでしょう。標高が高いところに行けば行くほど、カロリー消費が多くなります。十分な水分補給も必要でしょう。スポーツドリンクがお勧めです。

 山で雨にぬれることは命取りです。雨具は天気がよくても持参しましょう。

 天気も、昔とはずいぶん変わってきています。いまは一度に大量の雨が降ったり、午後に集中していた雷が朝から鳴ったりもします。出発前によく天気予報を聞き、無理をしないでください。

 役立つのは「しんぶん赤旗」に掲載されている高層天気図です。参考にしてください。


 お悩みHunter

 デート月1回だけなんて

 Q 彼(18歳)はせっかくの休日も、友だちと遊んでいることが多くて、デートは月に1回あるかないかです。私は二人きりになりたいのに、彼は「二人じゃ楽しくないだろう」って言うんです。私の方がわがままを言っているのでしょうか?(17歳、女性)

 正直に気持ち伝えあえれば

 A あなたの方だけがわがままを言っているのではないと思いますよ。あなたは、大好きな彼との二人きりの時間をもっとたくさん過ごしたいのですね。

 あなたの気持ち、よくわかりますよ。二人きりの時間が月に1回あるかないかというのは、少しさみしい思いになりますよね。

 それはわがままではなく、あなたの彼を思う気持ちなのですから、あなたの心を大切にしてあげてください。

 ただ、彼にも彼の思いや考え、休日の楽しみ方があるのでしょう。せっかくの休日、あなたとの二人きりの時間と同様に友だちとの時間も大切にしたいと思う彼の気持ちも、彼の立場になれば理解できますよね。

 「二人じゃ楽しくないだろ」という言葉は言葉だけ聞けば、あなたにとって少しショックな言葉かもしれません。

 ただ、その言葉の裏に秘める彼の思いは何なのでしょうか? 素直に彼に聞いてみてはどうでしょう。彼は自分の思いをうまく言葉で表現しきれていないのかもしれません。

 お互い正直に気持ちを伝え合うことをとことんやってみてはどうでしょう。

 お互いの思いが重なり合うところを必ず見いだせるはずです。きっと、より深く相手を思いやる関係が築けると思います。


舞台女優有馬理恵さん

 「肝っ玉お母とその子供達」など多くの作品に出演。水上勉作「釈迦内柩唄」はライフワーク。日本平和委員会理事。


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