2009年10月31日(土)「しんぶん赤旗」
「基地撤去、国外移設」を
沖縄の怒り・悲願を代弁
市田書記局長の代表質問
「住宅密集地の真上を米軍ヘリが飛び回る世界でも異常な普天間基地の撤去は一刻の猶予も許されない」「県民の思いは辺野古への新基地建設も県内移設も絶対に許せないというものだ」
日本共産党の市田忠義書記局長が30日の参院本会議で行った代表質問。戦後64年間、米軍基地の存在に苦しむ沖縄県民の怒りと悲願を代弁しました。
米軍普天間基地問題は、閣僚による相次ぐ県内「移設」容認発言で波紋を広げています。にもかかわらず鳩山由紀夫首相はこの日も、「いろいろな選択肢を検証している。最後は私が結論を下す」などとあいまいな答弁に終始しました。
ゲーツ国防長官、マレン米軍統合参謀本部議長ら米政府・軍首脳らによる訪日(20〜23日)後、岡田克也外相、北沢俊美防衛相からは、民主党の選挙公約を覆す新基地建設容認の発言が相次ぎました。
29日、岡田外相は、上京した仲井真弘多沖縄県知事、東門美津子沖縄市長、伊波洋一宜野湾市長らに、個人案として嘉手納基地統合案を提示。その直後の衆院本会議では、外相として、同案の検討作業を行っていることを公の場で明らかにしたのです。
米軍嘉手納基地は、普天間基地のある宜野湾市から北約10キロに位置します。県第二の町沖縄市、嘉手納町などにまたがり、多くの住民が居住する地域です。
統合案は、岡田外相のいう沖縄の負担軽減に何ら結びつかず、名護市辺野古への新基地建設同様、“基地のたらい回し”にほかなりません。県民世論と怒りを逆なでする岡田外相の提案に、嘉手納町議会は28日、外相の発言撤回などをもとめる意見書を可決。同町では11月7日、翌日の県民大集会に先立って、基地反対集会が開かれます。
米国の圧力に揺れ続ける政府――。
「首相は『地元のみなさまの思いをしっかりと受けとめる』とのべたが、政府がしっかり受けとめたのは沖縄県民の思いではなくアメリカの思いではないか」―市田氏は正面からこう迫りましたが、首相は最後まで明確な態度を示しませんでした。
この問題では、市田氏の直前に質問した沖縄選出の島尻安伊子議員(自民)が「(県民は)抑止力維持についても真正面から向き合ってきた」「このありさまでは在日米軍基地の再編自体、履行が難しくなる」などと逆の立場から首相を批判しました。
基地のたらい回しノーという県民、国民の意思はすでに明確です。
「沖縄の心」の真の理解者はどの党か――。
「首相は『私が決める』といわれたが、問題はどう決断するかだ」と指摘した市田氏は、「基地撤去と国外移設の要求をアメリカに受け入れさせるためには、対米従属の姿勢を変えた真正面からの交渉が不可欠」「それが対等な日米関係への重要な一歩である」と強調しました。