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2009年10月30日(金)「しんぶん赤旗」

主張

衆院代表質問

日本の政治をすすめる立場


 鳩山由紀夫首相の所信表明演説に対し、各党の代表質問が行われています。衆院では与党の民主党、国民新党が質問に立たず、自民党、公明党、日本共産党、社民党の4党だけの質問となりました。

 日本共産党の志位和夫委員長は、鳩山首相が「政治を変える」と繰り返しながら具体的に語らなかった暮らしにかかわる「肝心要」の問題、労働者派遣法の抜本改正や後期高齢者医療制度の撤廃を取り上げて首相に迫りました。国民の利益をつらぬいて政治をさらに前へ進める立場からです。

暮らし守る要の問題

 志位委員長は、人間らしい雇用の破壊は旧来の政治がつくりだしたもっとも大きな害悪であり、失業者への支援と人間らしい労働の再構築に取り組むかどうかに政治転換の要があると指摘しました。その点で問題なのは、首相が演説で労働者派遣法の抜本改正に一言もふれなかったことです。

 首相が力説した「働くことの尊さ」を奪っているのが派遣労働に示される「使い捨て労働」です。派遣法を抜本改正し、「正社員が当たり前」の社会をめざすべきだという志位委員長の追及に首相もその重要性は認めました。しかし実際には審議会にゆだねる態度です。自ら実現に取り組むべきです。

 社会保障を削減から拡充に転換することも大きな要です。なかでも高齢者に差別医療を押し付ける後期高齢者医療制度は、削減路線の最悪の象徴です。ところが首相は演説で「廃止」ではなく、「廃止に向けた新たな制度の検討」を主張しました。これは新しい制度ができるまで廃止しないという「先送り」でないのか。志位委員長が鋭く追及したのは当然です。

 この問題での首相の答弁は、「混乱を避けるため、時間をかけて新しい制度に移行したほうが合理的」というものです。後期高齢者医療制度を延命させれば国民の痛みが増すだけです。廃止して老人保健制度に戻すのに困難はありません。直ちに廃止して老人保健制度に戻し、そのうえで75歳以上の医療費無料化や国保への国庫負担増額など改善を図るべきです。

 国民はさきの総選挙で、自公政権退場の審判を下しました。国民は鳩山内閣に、「政治を変えてほしい」期待とともに、さまざまな不安や批判も持っています。いま求められるのはそうした声に応え、切実な要求の実現を求めるとともに問題点をただして、政治をさらに前に進めることです。

 志位委員長の質問は、暮らしだけでなく鳩山政権が進める予算編成などの問題でも、その立場をつらぬいたものです。沖縄の基地問題でも、アメリカの顔色をうかがっている首相に、対米従属政治からの転換を強く要求しました。

自公にはこの立場がない

 国民の利益をつらぬいて政治を前に進めるこうした立場は、自民党や公明党の代表質問にはありません。自民党は労働者派遣法の見直しや最低賃金の引き上げについて、「深刻な雇用問題を引き起こす」と反対する立場を鮮明にしました。公明党も老人保健制度は問題が多かったと、後期高齢者医療制度の廃止に背を向けています。

 日本の政治が切り開いた新しいページをさらに前に進めるのは主権者・国民の世論と運動です。日本共産党の「建設的野党」としての役割は、いよいよ重大です。


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