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2009年10月28日(水)「しんぶん赤旗」

主張

ASEAN

共同体としての存在感強めて


 東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳会議が開かれました。ASEANプラス3(日中韓)首脳会議(第12回)、日中韓やオーストラリア、インドなど16カ国による東アジア首脳会議(第4回)も開かれ、この地域の協力を強める機会になるとともに、ASEANの存在感を示しました。

 政治制度や経済発展、文化などで多様性をもった東南アジア10カ国からなるASEANは、2015年の「ASEAN共同体」発足に向けて歩みを進めています。首脳会議も共同体としてのインフラ整備などで合意し、日、中など周辺諸国も支援を約束しました。

平和の共同広げる中で

 ASEANは今回、「政府間人権委員会」の設置で合意しました。ミャンマーの人権問題は国連や欧米などから批判を受けてきました。内政不干渉を柱の一つとして統合を進めるASEANにとって、大きな懸案です。

 ASEANはこれまでも同国に解決を働きかけてきました。その努力にも立って、ASEAN憲章は人権問題でも域内協力を強める方針を確認しています。今回その機構的保障を設けたことは、「ASEAN共同体」化の前進です。米国がミャンマーに対し、これまでの制裁一本やりから関与政策へと転じたことも、新たな動きにつながっています。

 ASEANは域外諸国との間で、国連憲章を基礎に主権の尊重や紛争の平和的解決などを原理とする「東南アジア友好協力条約(TAC)」を通じて、平和の共同を広げてきました。

 米国は今夏、「この地域は世界の進歩と平和、繁栄にとって死活的だ」(クリントン国務長官)として、「東南アジアへの復帰」を宣言し、TACに加入しました。ASEANの存在感の強まりを反映しています。ASEANも米国との首脳会議を開くことを決めました。「ASEAN共同体」化の進展を基礎にして、域外国との関係強化を打ち出しています。

 東アジアの共同は、ASEANが「運転席」で推進することで現実になってきました。TACによる平和の枠組みを拡大しているASEANだからこそ、共同を前進させることができるのです。

 鳩山由紀夫首相は今回の首脳会議で自らの「東アジア共同体」構想を提起しました。東アジア地域の平和と繁栄をめざす協力は日本にとっても欠かせません。

 鳩山首相は「東アジア共同体」構想を示すにあたって、「日米同盟が外交の基軸だ」と主張しました。鳩山政権の「東アジア共同体」構想が「米国外し」との反発を招き、姿勢を“修正”したとの見方もあります。ただ、日本は米国の対東アジア関与を強めるため、東アジア協力の参加国拡大を主張してきた経緯があります。

東アジアの協力拡大には

 東アジア諸国には米国の覇権主義への拒否や懸念があります。ASEANは東アジア協力の拡大にあたって大国主導を拒否してきました。その東アジアで「日米同盟」を強調する姿勢は、首相のいう「東アジア共同体」構想自体に困難をもたらしかねません。

 米国による一国覇権主義が破たんしたもとで、地域協力の強化は世界的な流れです。東アジアではASEANを核とした協力を進めることがその筋道です。


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