2009年10月26日(月)「しんぶん赤旗」
列島だより
後期医療 廃止の日まで
厚生労働省は、ただちに75歳以上対象の後期高齢者医療制度廃止を求める声に応えない来年度予算の概算要求を明示しています。制度廃止を求める声、運動が広がっています。北海道と大阪市西淀川区からのリポートを紹介します。
「4年も待てない」署名に次々
北海道
北海道でも後期高齢者医療制度を「一刻も早く廃止を」の声が広がっています。制度廃止について「民主党が先延ばししようとしていることをニュースで知り、腹を立てています」(札幌市清田区・買い物客)、制度の廃止まで4年かかるという報道に対して「廃止までの4年間、じっと我慢して待たなければならないのでしょうか」(同西区・障害を持った66歳女性)
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年金支給日の15日、全道で取り組まれた宣伝署名行動で寄せられた声です。
札幌市大通公園での行動は国民大運動道実行委員会、道社会保障推進協議会、道労連の呼びかけで行われました。道内では年金者組合を中心に42の市町・行政区・地域で70カ所の行動が取り組まれました。547人が参加し、後期高齢者医療制度廃止を求める緊急請願など署名2400人分が集まりました。多くの住民が後期高齢者医療制度廃止、最低保障年金実現、消費税増税反対などの署名に協力しました。
昨年度、北海道での後期高齢者医療制度不服審査請求は3次にわたる取り組みで、全道から808人が提出し大きな運動をつくり上げました。裁決は、全員が「棄却・却下」でしたが、裁決が出るまでにおよそ1年を要して、請求人は高齢のために亡くなる方もいました。後期高齢者医療制度に怒る道民の会や社保協は、制度の廃止が現実のものになるまで審査請求に取り組むことを確認、2009年度は道内から36人が不服審査請求を起こしています。
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制度の先送りが濃厚になるなかで、社保協は17、18日の北海道社会保障学校で当面する運動の具体化として後期高齢者医療制度廃止に向け緊急請願署名の強化、ファクス要請行動や議員事務所要請行動を呼びかけました。
「後期高齢者医療制度の廃止法案を、即時に臨時国会に提出し、老人保健制度に戻してください」のファクス要請には、その場で33人が署名し、長妻昭厚生労働大臣に送付しました。22日には札幌市にある国会議員地元事務所へ訪問し、緊急請願実現への協力要請をしました。
北海道広域連合では10・11年度の保険料の算定や資格証明書発行の運用基準策定、ジェネリック医薬品の使用促進などの準備がすすめられています。8月の保険証切り替えに伴って964人に短期保険証が発行されました。廃止を急げというたたかいと同時に、被害をくい止める一つひとつのとりくみを強めていきます。(北海道社保協事務局長 吉岡恒雄)
毎週宣伝 地域から運動強め
大阪市西淀川区
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大阪市西淀川区でも、「長生きはダメ! はよ死ね」といわんばかりの後期高齢者医療制度に対し、大きな抗議の声が上がっています。1万5000人を超える制度廃止を求める署名が集まっています。代表者がこの署名簿を携え、度重なる国会要請行動で上京しています。
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淀川勤労者厚生協会(民医連加盟)は22日、制度廃止を求める緊急請願署名宣伝行動を2カ所のスーパー前でしました。頭をさげ「なんとかこんな制度なくしてください」と話す高齢者ら82人が署名をしました。日本共産党の佃二丁目支部、佃三丁目支部は17日、スーパー前で「後期高齢者医療制度はただちに廃止させましょう。民主党が言うように先送りすると、来年春には保険料が値上がって負担が増えます」と訴えました。道行く人が次々と立ち止まりました。突然の大雨で中断するまでの30分間に47人が署名をしました。
西淀川区では制度実施の昨年4月1日から、廃止をめざす取り組みが活発に行われてきました。
同日朝、淀川勤労者厚生協会の各院所では受付窓口に理事会名の抗議声明を張り出し診療開始。姫島診療所は昼休み時間に職員と健康友の会会員が抗議ハンドマイク宣伝をしました。夕方には西淀川区社会保障推進協議会がスーパー前で宣伝行動。15労組・団体から30人が参加し、1時間で94人分の署名を集めました。
西淀川区社会保障推進協議会は毎週木曜日に宣伝行動をし、「後期高齢者医療制度は高齢者だけでなく現役世代にも自己責任を押し付け国民皆保険制度を崩壊する制度です。金の切れ目が命の切れ目である制度の廃止を」と訴えてきました。
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昨年9月19日に「国民医療を守る西淀川区民集会」が会場満員の231人の参加で開かれました。集会は西淀川区の医師会、歯科医師会、薬剤師会、社保協、老人クラブ連合会、西淀川公害患者と家族の会など8団体で構成する実行委員会が主催しました。医師会は「後期高齢者医療制度の廃止」を訴える集会決議書を衆参院議員の厚生労働委員・大阪選出議員、大阪府議、大阪市議、都道府県医師会、政令指定都市医師会、府内行政区医師会に送付しました。
制度実施1年の今年4月1日には、その廃止を求め、朝の年金者組合を中心とした宣伝署名行動や、午後の「西淀川怒りの区民一揆・区民集会」とデモ行進が取り組まれました。
マニフェストに「後期高齢者医療制度の廃止」を掲げる民主党を中心とする政権が誕生した今、直ちに、この制度廃止をさせるよう地域からの運動の強化が求められています。(西淀川区社会保障推進協議会事務局長 矢野正之)
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