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2009年10月26日(月)「しんぶん赤旗」

主張

米軍高速料不払い

遊びまで税金で負担する異常


 会計検査院は23日、米兵が私的な遊びのために利用する高速道路の通行料まで日本が負担するのは「適切ではない」とのべ、防衛省に「改善」を要求しました。

 この問題は昨年、日本共産党の井上哲士参議院議員がくりかえし国会でとりあげてきたものです。ディズニーランド見物や温泉旅行といった米兵の私的な遊びのための高速料金を負担するなど言語道断です。会計検査院がメスを入れたのは当然です。

 不正な支出を容認し続けた自公政権の責任は重大です。遊びの負担という異常をこれ以上続けるわけにはいきません。

通用しない「公務」

 米軍は高速道路など有料道路を使う場合は、「公務」を証明する軍用車両有料道路通行証明書を一枚提出して通行します。米軍地位協定上は、「公務」なら米軍車両は料金を支払わずに通行できるということになっています。これ自体不当な米軍優遇措置です。

 ところが「公務」ではなく、私的な遊びのために使う車まで、通行証明書を提出して未払いのまま通行しているのが実態です。すべて日本国民の負担となるものだけに放置はできません。

 会計検査院の調べでは、2008年度に日本が負担した米兵の高速道路料金総額は、米軍車両約97万台分、約8億6千万円です。このうち普通車は約64万5千台、負担額は約4億4千万円です。この普通車の「公務」、「私的」の区別は、会計検査院が防衛省を通して米軍に問い合わせても、米軍が答えないため不明のままです。説明を拒むのは、地位協定違反が表にでることで、国民の批判が強まるのをおそれてのことです。

 会計検査院は、高速道路の利用が集中する8月に使用された通行証1万8千枚を抽出し、分析を余儀なくされました。その結果、普通車で通行するさい提出された証明書から車種、運転者の氏名、車両番号、発行日、基地所在地、発行責任者の官職の記入もれが多く見つかりました。これは、必要事項はすべて記入するという米軍の約束にも反しています。いいかげんな証明書で、「公務」にみせて遊びのための高速料金を日本に負担させるのは許されません。

 遊びは「公務」ではないという批判に対して米軍は、「レクリエーションは軍の生活の重要な一環」だといいます(08年6月16日付「星条旗」紙)。だからといって高速料金の負担を日本国民に押し付ける理由にはなりません。米軍が負担すべきです。日本に負担を押し付けるのは、いまもアメリカが日本を支配しているという思い上がった占領者意識によるものです。

 防衛省の卑屈な態度も問題です。米兵が提出した証明書の記載不備を確認する作業すら行わず、米軍に事実確認もしていません。卑屈な対米追随姿勢では、不正をただすことも、ムダをなくすこともできません。日米同盟絶対視をやめることが不可欠です。

ただちに是正せよ

 日本の国民なら当然、高速道路の通行には高い料金がかかっています。それなのに米軍なら私的な使用でも、高速道路を使って好きなところに行けるという身勝手は通用しません。

 地位協定の抜本的見直しを待つまでもなく、米軍はただちに高速料金不払いをやめるべきです。



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