2009年10月24日(土)「しんぶん赤旗」
人権尊重の共同体へ
ASEAN首脳会議開幕 タイ首相が演説
東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳会議が23日、タイ中部のフアヒンで開かれました。25日にはASEAN主催の東アジア首脳会議が開かれ、日本から鳩山由紀夫首相が出席します。(フアヒン=井上歩)
ASEAN議長国タイのアピシット首相は23日、当地で開かれたASEAN首脳会議で演説し、2015年に実現するASEAN共同体に明確なビジョンが必要だとのべ、「行動、結合、人間」の3点を提唱しました。
同首相は、ASEANの成果として、「憲章に基づく機構」へと進化し、共同体の3本柱ごとの評議会設置など機構面で前進していることを指摘。緊急の外貨不足のさいに資金を融通しあう基金(チェンマイ・イニシアチブ)を、現在の2国間協定のネットワークの多国間への一本化を年内に実現する予定だと明らかにしました。
また、東アジア首脳会議(EAS)に参加する6カ国とASEANとの自由貿易協定(FTA)締結が完了し、EAS規模の地域FTAを模索する時期にきたとのべました。
同首相は「多くの地域的・地球的な試練と直面し、ASEANは成長した。後は合意や宣言、展望を実行できると証明することだ」と強調。(1)機構を強化し、課題・挑戦に対して迅速に決定する「行動の共同体」(2)域内のインフラ整備や人々の相互理解を進める「結合の共同体」(3)人間開発や人権を促進する「人間の共同体」―を到達すべきビジョンだとして打ち出しました。
なかでも「人間」が最重要だとし、「将来の共同体の最終の受益者は域内の人々」だと強調。人権や基本的自由などASEAN憲章の原則を具体的行動に移していく必要があると訴えました。