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2009年10月24日(土)「しんぶん赤旗」

主張

緊急雇用対策

一人として路頭に迷わせず


 鳩山由紀夫首相を本部長とする政府の緊急雇用対策本部が、生活困窮に陥った失業者や就職難の新卒者を支援する「緊急雇用対策」を決めました。

 雇用情勢は最悪です。失業者を支援する炊き出しに並ぶ列もどんどん長くなっており、昨年末〜年始を上回る深刻な事態が懸念されています。

 もはや一刻も放置できません。

取り組みの充実を

 「緊急雇用対策」は、「『貧困・困窮者、新卒者への支援』を最優先する」としています。

 貧困・困窮者への支援では、「再び『派遣村』を必要とすることなく、安心して生活が送れるようにする」ことを目標に、住宅の確保などに取り組みます。ハローワークで就職援助だけでなく、住宅や生活の相談もできる「ワンストップ・サービス・デイ」を、年末年始を含めて定期的に設けられるか検討するとしています。

 これらは、「反貧困ネットワーク」など市民団体や労働組合の要求にも沿った対策です。与野党を超えて、何より年末年始に一人として失業者を路頭に迷わせることがないように、知恵を出し合って取り組みを充実させていく必要があります。

 「緊急雇用対策」では、ことし後半に失業給付が切れる受給者数を調査し、「つなぎ特別融資」などの適正な運用と分かりやすい広報に努めるとしています。

 それにとどまらず、失業給付は臨時延長に踏み切るぐらいの対策が求められます。雇用保険の対象とならず生活に困窮しているすべての失業者に対して、生活支援の目配りが必要です。温かく人間らしい対応を行政の末端まで徹底し、親身に対応している自治体の過重負担を解消するためにも、政府の積極的なイニシアチブと自治体支援が重要です。

 大手製造業で短期の「使い捨て」を前提にした非正規雇用を再開する動きが広がっています。再び身勝手な行動を繰り返さないよう政府は大企業を強く指導し、雇用の責任を果たさせるべきです。

 国際労働機関(ILO)によると、失業者のうち失業給付を受け取っていない人の割合は、ドイツ6%、フランス20%に対して日本は77%に上ります。受け取れたとしても受給期間は1年に満たない短さです。

 「非正規切り」で収入も住居も奪われれば、たちまちホームレスにまっさかさまです。最後のセーフティーネットである生活保護は、自公政権の社会保障抑制と自治体の「水際作戦」によって多数が排除されています。

 人間をモノのように使い捨てにし、失業が貧困に直結するような社会では安心して暮らせません。生活の下支えがなければまともな仕事を探すこともできないし、仕事を選ぶ余裕さえない人をどんどん増やす社会では、全体の労働条件がますます悪化します。

貧困を防ぐ社会へ

 世界に広がった経済危機で、首都のど真ん中に「派遣村」ができたのは日本だけです。

 昨年のような悲惨な事態を繰り返さないよう、政府の責任で緊急対策に全力をあげることは極めて重要です。同時に、労働者派遣法の抜本改正など人間らしく働ける労働のルールを確立し、社会保障を立て直して、貧困を防ぐ社会への転換が求められます。


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