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2009年10月23日(金)「しんぶん赤旗」

主張

「全精社協」事件

補助金むさぼる癒着を正せ


 社会福祉法人「全国精神障害者社会復帰施設協会」(全精社協)の不正経理事件に関連し、同協会の会長、元副会長ら4人が、厚生労働省の補助金約5000万円を不正に受け取っていた補助金適正化法違反の疑いで逮捕されました。

 補助金の原資は国民の税金です。血税のムダづかいを許さぬためにも、補助金をむさぼる不正や政官業の癒着は徹底して究明され、正される必要があります。

政官業の癒着のなかで

 同協会が、2007年度と08年度の2年間に受け取った「自立支援」のための調査研究をうたった補助金は5120万円にのぼります。そのうち本来の目的に使われたのは約500万円と1割程度にすぎず、ほとんどが不正に流用されたとみられます。同協会が運営する栃木県内の施設の運営費などに回されていたほか、別途、栃木県から受け取っていた補助金の使い残し分の返還などにも回っていたといわれています。

 もともと同協会は、巨額の裏金が協会幹部のもとに渡り、政治家への裏献金に回っていたなどの疑いがもたれており、流用された補助金の一部が裏金と一体で使われた疑惑は濃厚です。国民の税金を食い物にしたことになります。

 重大なのは、同協会が補助金を不正に受け取り流用した背景に、厚労省の官僚や天下りしたOB、同省に影響力のあった政治家とのかかわりが浮き彫りになっていることです。

 逮捕された協会幹部は、補助金が「自立支援」という目的どおり使われないことは「厚生労働省の担当者も知っていた」と語っています。協会の催しなどに来た厚労省の役人に「お車代」などを渡したことがあるという証言も報道されています。

 一方、協会の裏金からの政治家への裏献金に補助金の一部が流用されていたかどうかは「わからない」としていますが、裏献金を受け取っていたのは厚労省の副大臣などを務めた自民党の前議員で、補助金支給の決定にもかかわっていた疑いがあります。国から補助金を交付される団体から政治献金を受け取ること自体が言語道断です。政治家がどうかかわったかは、徹底して究明されるべきです。

 補助金適正化法は、補助金を受け取る側の不正を取り締まるために、その第1条に交付の「不正な申請」や「不正な使用」を防止するとうたっています。税金を原資にした補助金の支出に、不正が許されないのは当然のことです。

 ところが、その監督にあたる行政や政治家の側が“ぐる”になって不正に手を貸していたとなれば、この法律はまともに機能しないことになります。協会側はもちろん、厚労省や政治家の責任も、徹底して糾明されるべきです。

血税の浪費に抜本策を

 問題は、こうした補助金をめぐる不正がこの全精社協の事件にとどまらず頻発しており、まさに事件は“氷山の一角”にすぎないことです。しかも、「補助金行政」といったことばがまかり通るように、官僚と政治家が補助金をてこに支持基盤を固め、天下り先を確保することも広く行われてきました。

 事件を繰り返さないためには、こうした癒着と不正に抜本的なメスを入れることです。それこそ血税の浪費を許さない、国民本位の政治を実現していく道です。



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