2009年10月22日(木)「しんぶん赤旗」
アフガン大統領選 決選投票
不正防止・治安…難題山積み
アフガニスタン大統領選挙で、1位だった現職のカルザイ氏が、2位のアブドラ前外相との決選投票を受け入れたことを、歓迎する声が出ています。ただし、実施に向けては難題も山積みです。(安川崇)
「カルザイ氏が決選投票を受け入れたことは喜ばしい。より正統で信頼ある政権をつくることができる」
国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は20日、英BBC放送にこう語りました。
選挙で大規模な不正疑惑が指摘されたことに、カルザイ陣営は当初、反発。決選投票に消極的な姿勢を見せていたため、混乱を最小限にとどめたい欧米諸国に懸念が広がっていました。
一方、潘事務総長は2度目の投票の実施について「大きな挑戦」だとも指摘。「より透明性のある、不正のない選挙になるよう、あらゆる議論をする必要がある」と述べました。
1度目の投票では、カルザイ氏に投じられた数十万票が不正に関係があると判断されました。国連は地方の選挙スタッフの半数以上を交代させる方針ですが、不正が再発しない保証はありません。
ロイター通信(21日付)はアブドラ氏が、次の選挙実施にあたり「大規模な不正の再発を防ぐための条件」を提案する用意があると伝えました。
治安面にも不安があります。反政府武装勢力タリバンは初回の投票日(8月20日)前から各地で爆弾攻撃を実施。投票日には全国で40人以上が死亡しました。アフガンのある識者は同通信に「タリバンは間違いなく(選挙を)全力で妨害しようとする」と語っています。
決選投票は11月7日に実施の予定です。アフガンには高地が多く、冬季は多くの地域へ向かうルートが雪に閉ざされるため、日程に遅れが生じると実施が困難となることも指摘されています。