2009年10月19日(月)「しんぶん赤旗」
八ツ場ダム問題
報道による誤解を検証
中止で振興進む地域も
今さらやめられない? 高くつく?
1都5県住民ら集会
群馬県の八ツ場(やんば)ダムをめぐるさまざまな情報を検証しようと、「八ツ場ダムのウソorホント? 徹底検証緊急集会」が18日、東京都豊島区内で開かれました。同ダムストップさせる市民連絡会と同ダムを考える1都5県議会議員(東京、埼玉、千葉、茨城、群馬、栃木)の会の共催です。
集会では「中止した方が高くつく」「すでに7割もできているので、今さらストップできない」といった、この間の報道で流されるいくつかの誤解について、参加者らが解説しました。
ダム建設中止後の地域再建について発言した嶋津暉之さん(同ダムストップさせる市民連絡会代表)は、参考例として鳥取県営中部ダムが中止になった三朝(みささ)町で、行政と地元住民による地域振興協議会を結成したことを紹介しました。
三朝町の取り組みでは「ダム中止で農地整備や住宅改修ができるようになってよかった」「協議会の真の目的は、施設整備ではなく、住民が住み続けてよかったと思える町にすること」といった地元の声が紹介されました。
嶋津氏は、「八ツ場ダム中止後の地域再建でも地元住民の意向に基づいた合意形成を保証する再建支援法でなければなりません。八ツ場ダムの場合でも地元の方に『住み続けてよかった』と思ってもらえることを願います」とのべました。
会場からの発言では植物写真家の安原修次さんが「群馬県の絶滅危惧(きぐ)種であるカザグルマの群生地がダム水没予定地にあるという一点をとってもダムは中止すべきだと思う」とのべ、会場から拍手があがりました。
集会は、「今こそ、1都5県は、旧政権下において隠された事実にもとづいて改めて八ツ場ダム事業を検証し、過去の政策判断を見直すべき」だとするアピールを採択しました。
日本共産党からは千葉県のみわ由美、丸山慎一の両県議と茨城県の山中たい子県議が参加し、紹介を受けました。
早稲田大学第一文学部4年生の女子学生(22)は「ダム工事事務所のホームページでは、八ツ場ダムが環境にやさしく住民の合意を得られたかのように書いていますが、そうではないことがわかりました。住民の抱えてきた思いを知りたいと思いました」と話していました。
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