2009年10月19日(月)「しんぶん赤旗」
JR西情報漏えい
被害者の思いは真相究明
元事故調部会長に説明求める
JR福知山線脱線事故の事故調査委員会のメンバーにJR西日本側が接触し、事前に事故報告書を入手し改ざんを求めていた情報漏えい問題に関連し、当事者の一人で元事故調鉄道部会長の佐藤泰生氏による説明の場が18日、兵庫県尼崎市内で設けられました。
一連の疑惑をめぐる全ぼうと真相を知りたいと、同事故の遺族と負傷者でつくる「4・25ネットワーク」、同支援弁護士グループ、鉄道安全推進会議(TASK)がよびかけ、マスコミ関係者も含めて約130人が参加しました。
佐藤氏は、旧国鉄時代の後輩であるJR西日本の鈴木喜也東京本部副本部長に10回にわたって都内の飲み屋で会い、新型ATS(自動列車停止装置)設置の遅れや日勤教育の問題が報告書に盛り込まれるかどうかを聞かれていました。
佐藤氏は、懲罰的な日勤教育が事故に大きくかかわっていたとの認識から、人事状況やその後の教育について聞き出したかったと釈明、「秘密に属することは言っていない」と語りました。国鉄時代の自身の経験から、部署間で事故件数の「貸し借り」、速度記録などの証拠隠しが行われていたと述べました。
「鈴木氏に会う際、トレード(情報交換)という想定はなかったのか」と被害者らから質問が相次ぎました。
事故当時、2両目に乗車し負傷した男性(40)は「被害者にとって真相を知りたいというのは当然の思いです。事故報告書は被害者が次の一歩を踏み出す大きなよりどころ。最初から本当のことが聞けるような報告書であってほしかった」と無念の思いをにじませました。
「ネットワーク」世話人の男性は「仕掛けたのはJR西日本。組織の体質が問われなければならない。真相究明のとっかかりをつくるスタートとなったのではないか」と話しました。